数々のタイトルを獲得してきた55歳のベテラン雀士が、麻雀界に生まれた新たなリーグに目を輝かせた。明日10月1日に開幕する麻雀プロリーグ「Mリーグ」で、セガサミーフェニックスの一員になった近藤誠一(最高位戦)は「単純に(寿命の)先が短いですね」と年齢について自虐しつつ、61歳の前原雄大(連盟)に次ぐ年長プレイヤーであっても、意欲は全く衰えない。「本心では80歳までやろうと思っていますからね」とサラリと語るベテランは、新リーグでどんな打牌を見せるのか。
長らく競技麻雀の世界に身を置き、獲得したタイトルは数知れず。自らが所属する最高位戦でも、頂点である最高位には連覇を含み3回なった。近年になりメディア露出も増え、眉間に皺を寄せながらも、勝ち切る様子がファンに支持されている。そんな百戦錬磨の近藤であっても、初体験だったドラフト会議では「ドキドキしましたね。どうなるんだろうと思いましたけど」と、心が落ち着かなかった。
タレントなどの著名人が対局するテレビ番組こそ長年楽しまれてきたが、近藤のような存在が麻雀ファンに広く認知されるようになったのは近年、ネットによる配信が増えてきてからだ。「タレントさんたちがやっている番組は、基本的に1日で完結しますからね。Mリーグは半年をかけて戦いますから、戦い方も違います。我々がやろうとしていることは、勝つこととともに魅せることですかね」。当然、プロ雀士もタレント性が注目されることはあるが、やはりメインは卓上で見せる手牌、捨て牌。「卓上で結果を残し続けることで、未来が変わっていく」と、その一瞬ではなく、一局一局を積み重ねていくことの重要さを、長期リーグで何度も頂点に立った男が伝えようとしている。
これまで戦ってきた場所よりも、はるかに多くの人が注目するであろうMリーグ。そんな中で「本物」を見せようとしている。「今思えば、あのリーグ中盤の近藤さんのアガリが、セガサミーの優勝につながったんだよね」。近藤が理想とするのは、視聴者がこんなことを仲間と語り合う未来だ。
◆近藤誠一(こんどう・せいいち)1963年8月1日、兵庫県生まれ。A型。最高位戦日本プロ麻雀協会所属。主な獲得タイトルは第37、40、41期最高位、第13回モンド王座、第10、11回モンド名人戦、四神降臨2013王座、2015秋陣、2015、2016日刊スポーツ杯スリアロCSGC、京都グリーン杯2016夏、第二回麻雀駅伝2018他。愛称は「誠さん」。
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