10月1日から開幕する麻雀プロリーグ「Mリーグ」には、日本最大の広告代理店であり、オリンピックや万博といった国のビッグイベントにおいても大きな役割を担ってきた株式会社電通も参戦する。そのチーム名は「TEAM RAIDEN/雷電(チームライデン)」。メンバーはドラフト1位指名の萩原聖人(連盟)をはじめ、瀬戸熊直樹(連盟)、黒沢咲(連盟)とまさにチーム名にふさわしい、見る者を魅了する打ち手3人が並ぶ。
中でも瀬戸熊は電通から「現場は任せる」とプレーイングマネージャー的な役割も担って戦うことになった。スポーツ界で言えば、プロ野球の野村克也元監督をはじめ、古田敦也元監督らが、プレーイングマネージャーという重責を担ってきたのは周知の事実。鳳凰位をはじめ、数々のタイトルを獲得してきた瀬戸熊だが「個人戦でもないチーム戦、さらに大勢のプロたちの将来を背負って立つわけですから、自分の勝ち負けではなくて、内容も問われるでしょうし、すべてにおいてプロフェッショナルにならなければならない」と、生半可な覚悟で舞台に上がるつもりもない。
「萩原さんと黒沢さんは、4番とエースみたいな存在」と絶大な信頼を寄せている瀬戸熊は、2人がその実力を存分に発揮しやすいよう、対戦カードを采配することになる。最も重視していくのは、対戦データから読み取れる“相性”だという。「対戦がひとまわりして、ある程度の細かいデータが揃ってきたら、対戦相手との相性を考慮しながら組み合わせを考えていきます」とし、実際、RTDリーグでも組み合わせの相性が顕著に出ていたことを踏まえ「戦いやすい相手と戦いにくい相手というのはあります。野球で言えば先発投手で右ピッチャーが来たら、左バッターを中心に打線を組むようなイメージです。その見極めだけはキャリアも長いので、すぐに感知できるんで」と各々の勝負勘に加え、数字で顕著に現れた部分は分析して、対戦カードの組み合わせに生かすと、まさに野村ID野球を彷彿させる。
ただ相性のいい悪いにも、ある一打によってガラっと変わることもあるという。「麻雀の場合は、昨日までは相性抜群だったのに、あそこをきっかけに展開が変わったという一打もあるんです。そういった一打が見受けられたら、以降その相手との対戦を避けることも大事」と、潮目が変わる一打をも見極めていく。
チームとして成長し、成果を出していくためには、自身の個人目標の達成も当然求められる。「自分がマイナスしていると、結局は自分のことをなんとかしなければと思ってしまう。だから僕自身がプラスにこだわることで、チームはより機能する」と「第一回 麻雀プロ団体日本一決定戦」でも団体を牽引し、優勝に導いた経験を生かし、自分で自分を追い込んでいくつもりだ。
揺るぎない信念、高いコミュニケーション能力、そして強固なリーダーシップ。プロ雀士として、実績十分の瀬戸熊が、Mリーグというまだ誰も体験したことのないステージで、他の7チームには無い重責に挑戦する。「TEAM RAIDEN/雷電」は、10月1日に初日を迎える。【福山純生(雀聖アワー)】
◆瀬戸熊直樹(せとくま・なおき)1970年8月27日、千葉県生まれ。O型。日本プロ麻雀連盟所属。主な獲得タイトルは第26・27・29期鳳凰位、第6・9期無双位、第14期發王位、第28・29・30期十段位他。著書は「麻雀アガリの技術」。異名は「卓上の暴君」。
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