黒沢咲のキャッチフレーズは「強気のヴィーナス」。上智大学理工学部に入学後、友達がやっているのを見て興味を持ち、麻雀を始めた。在学中は実験の合間に白衣姿で麻雀したり、卒業式の日も着物を着ながら麻雀をしていたほどハマっていたそうだ。就職してからも麻雀を続け、一念発起してプロ入り。平日はOL、休日は麻雀プロという忙しい日々を5年ほど続けた後、プロ活動に専念。料理は作るのも食べるのも大好きで、大きい魚も下ろせるほどの腕前。門前高打点を武器に、現在は日本プロ麻雀連盟A2リーグで戦っている才媛である。
しかし、株式会社電通率いる「TEAM RAIDEN/雷電(チームライデン)」からドラフト指名を受けたことについては、青天の霹靂だったという。「会場でセレモニー映像が流れ始めた時は、すごいものが始まるぞというスケール感で本当にドキドキしていて。この場に立ち会えて本当によかったなと思っていた矢先、いきなり名前を呼ばれて、驚きのあまりすごい面白い顔をしていたかもしれません」と振り返り「正直、うちの団体の中でも、注目されている選手が他にいっぱいいる中で、私は華に欠けるというか、メディアに出ること自体が得意な方ではないんです。ただ麻雀に対しては一生懸命やってきた気持ちだけはあったんですけど」と控えめだが、芯が通っている。
ドラフト以降、開幕に向けて徐々に意識は高まっている。「電通さん自身がスポンサードするのは麻雀プロが初めてだという話を聞きまして、責任重大ですし、やってよかったなと思ってもらえたらという気持ちでいっぱいです」。現在は所作動作も含め、改めて一から見直すべく、Mリーグのルールを取り入れた朝練をプロ仲間とともに行う日々を過ごす。
チームメンバーには、プレーイングマネージャーとして参戦する瀬戸熊直樹(連盟)と、己の麻雀人生をかけてMリーグに参戦するためプロ入りを電撃発表した俳優・萩原聖人(連盟)がいる。「芸能界最強と言われている萩原さんがプロ入りしてくれて、すごく注目されていますし、応援してくださる方も多い」とアドバンテージの高いところからのスタートだと受け止め「さらにそこからどんどん麻雀ファンを増やしていけるようなチームにしていけたら」と願っている。
「ミーティングでも萩原さんが『選ばれた選手が強いのは当たり前。その中で、一番格好良く、一番愛されるチームを作ると決めている』と熱弁してくれて、私は自分の不安ばかりを心配していた次元の低いことを考えていたんですが、萩原さんの言葉に刺激を受けて、意識の持ち方が徐々に出来てきています」とモチベーションも上がっている。
これまではワンピースを着て対局していた黒沢だが「チームユニフォームを着てみたら、茅森さん(茅森早香)に『ん~。似合っては、いない』と苦笑されました。スポーツウェアを着て対局することがなかったので、違和感があるのかな」と頬を赤らめるが、動きやすいので対局しやすいと微笑した。
まさに魅せる麻雀を打つ3人が揃った「TEAM RAIDEN/雷電」。チーム名の雷電は、江戸時代の力士、雷電為右衛門(らいでんためうえもん)にちなんでつけられている。雷電の幕内での成績は、32場所中254勝10敗で勝率は9割6分2厘。歴代幕内力士史上最強力士でありながら、礼儀と教養を兼ね備えていた人物だったそうだ。
才色兼備の強気のヴィーナスが雷のごとく電光石火の高打点を炸裂させられれば、雷電さながらに愛される格好いいチームになるに違いない。「TEAM RAIDEN/雷電」の土俵入りは10月1日。初白星が待ち遠しい。【福山純生(雀聖アワー)】
◆黒沢咲(くろさわ・さき)10月6日、北海道生まれ。A型。日本プロ麻雀連盟所属。主な獲得タイトルは第6、7期プロクィーン、第6、9、12回麻雀さんクィーンカップ他。ポーセラーツサロンの講師も務める。異名は「強気のヴィーナス」。
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