台風が接近する中で開催された9月30日の『Krush.93』後楽園ホール大会では、2つのタイトルマッチが実施されている。
一つは、ライト級のタイトルマッチ。K-1でインパクトを残し、Krush制圧を果たしたムエタイ戦士ゴンナパー・ウィラサクレックの初防衛戦だ。
挑戦者は大沢文也。パンチを武器とするテクニシャンタイプの選手で、序盤は距離を取り、終盤は接近戦でと形を変えながらゴンナパー攻略を狙っていった。しかしゴンナパーの攻撃力は盤石。パンチ、蹴りと分厚い攻撃で試合を支配し、判定勝利を収めている。
もう一つはスーパー・ウェルター級のタイトルマッチだ。王者ジョーダン・ピケオーは防衛を重ね、日本の強豪を総なめ状態。そこに名乗りをあげたのが新鋭・和島大海だった。和島はキャリア10戦で9勝、しかもすべてKO勝利という爆発力の持ち主。
とはいえ、ヨーロッパの選手との対戦は初めてという和島だけに、やはり王者の壁は厚い。序盤から圧力をかけていったのはピケオーだ。パンチに加えミドルキックも効果的にヒットさせていく。
試合後半になるとコツコツと放ってきたローキックで主導権を握りかけた和島。挽回してきたところで3Rが終了し、判定は2-0。僅差の判定であり、和島にとっては大善戦と言える内容だったが、ピケオーが王座を死守した。
「これでもう70kgに相手はいなくなった」と試合後のピケオー。そこで「俺は67.5kgでも試合ができる」と表明し、リングに呼び込んだのがウェルター級王者の木村“フィリップ”ミノルだった。
観客に対戦をアピールするピケオー。木村も「これが本物の格闘技です」と受けて立つ構えを見せた。王者対決となるが、木村は自ら挑戦者の立場となる青コーナーを希望している。
スーパー・ウェルター級(70kg)とウェルター級(67.5kg)の王者対決。このドリームカードはさっそく正式に決定し、試合翌日の記者会見で発表された。決戦の舞台は11月3日のK-1だ。選手同士、さらにファンの期待も合致した最高のカードが実現する。大会における目玉中の目玉と言っていいだろう。