菅官房長官は15日、臨時閣議後の記者会見を開き、安倍総理から来年10月の消費税率10%への引き上げと、それに伴う対策について発言があったことを明らかにした。前回引き上げの経験を活かしてあらゆる施策を総動員、経済に影響を及ぼさないよう対策について年末にかけて具体的な議論を進めていく方針だ。
街の人からは消費の手控えを懸念する声も上がる中、日銀の黒田総裁は14日、インドネシアのバリで行われた国際会議で、今回の増税について「現時点では日本経済に与えるマイナスの影響は大きくないと考えている」との見解を示した。
その背景にあるのが、今回初めて導入される軽減税率だ。生活に直結する食料品や新聞などは、増税されず8%に据え置かれる。消費者にとってはプラスとなる対策だが、大きな焦点になっているのが外食の扱い。食品を持ち帰った場合は軽減税率が適用され税率は8%のままだが、店内で食べると10%の増税対象になる。つまり、同じ商品でも持ち帰りと店内で値段が変わってしまう。
また、新たな懸念が2%の“ポイント還元”。税率10%適用で110円の商品は2%引きの108円に、軽減税率が適用された108円の商品も同じく106円になる。しかし、ポイント還元には条件があり、中小の小売店であること、クレジットカードなどによる“キャッシュレス決済”が必要だ。現金決済が主体の商店街ではポイント還元が受けられず、客足が減ることが懸念されている。
増税と軽減税率とポイント還元、ややこしく思われる仕組みだが、今後私たちの消費行動にどのような影響をもたらすのか。臨床心理士で明星大学准教授の藤井靖氏は「個人の消費行動への影響は限定的」との見方を示し、「集団心理と個人心理には齟齬があって、個人はイメージや感情で判断することが多く、集団では数字や論理によって判断されることが多い。例えば個人のレベルでは、数十円安い日用品を買いに遠くのスーパーまで行き、結果ガソリン代を考慮しておらず損をしているということがある。一方、報道は集団という軸で考えられることが多いので、実際に総支出が増えることや景気の後退といった話になる。いざ個人レベルで何か買おうと思った時に、増税前と後の金額が併記されていたら別だが、日常的な個人心理として客観的に消費税のことを考え続けるかというとそうではないので、結果、個人への影響は限定的なのではないか思う。ただし、実質的影響や損失についての客観的報道が増えれば増えるほど、買い控えなど個人の消費心理に影響を与えることはありえる」と述べた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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