プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2018」10月22日の2回戦が行われ、TEAM雷電の瀬戸熊直樹(連盟)が役満の気配に満ちた荒れ模様の試合を制して自身3勝目を挙げ、チームとしても同日の1回戦に続く2連勝を飾った。
対局者は起家からEX風林火山・滝沢和典(連盟)、TEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)、KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)、セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)。魚谷のみ1回戦からの連投となった。
瀬戸熊は「黒沢選手が頑張ってくれたので力が入りました」と、同日の1回戦でチームメイトの黒沢咲(連盟)が勝利した勢いを駆って序盤から積極的な麻雀を展開。親番の東2局では、リーチ・ツモ・ピンフ・ドラ2で1万2000点をプラスして優位な立場を築いた。しかし本人の「4000オールくらいでは決まらない」という言葉通り、結果的にあちこちに落とし穴が潜む半荘となった。
続く東2局1本場では三元牌が滝沢に集中し、5巡目で早くも役満・大三元のイーシャンテン。ここは魚谷が佐々木からリーチ・ドラの2600点(+300点)をアガり事なきを得たが、何かが起きそうな怪しい気配が卓を包み始めた。
そんな中、瀬戸熊はトップで迎えた南1局で「これぞプロ」という秀逸な構築力を披露する。5巡目でドラの二万をツモり、ドラが3つのチャンス手となると、あえてイーシャンテンに取らず、好形への変化を期待してリャンシャンテンを維持。中継で解説を務めていた赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)は「手の進みを重視する瀬戸熊にしては珍しい」と指摘するも、この打ち回しがズバリ。スムーズにテンパイに持ち込んでリーチをかけると、リーチ・一発・ツモ・ドラ3で1万2000点を加点。これには解説の村上も「完璧すぎる……」と脱帽するほかなかった。
ところが、その後の南2局1本場、魚谷が8巡目で役満・国士無双をテンパイ。魚谷の当たり牌はまだ山に潜んでおり、大量リードの瀬戸熊にとってもまったく予断を許さない状況に。しかしこの山場は、リーチをかけた滝沢に瀬戸熊が振り込むという意外な展開で幕を閉じた。リーチ・一発・ピンフ・ドラ2で8000点(+300点)を失ったものの、結果的にこれが絶妙な差し込みとなって役満の危機を回避することに成功した。
オーラスで親番の魚谷が連荘を続けて粘りを見せるも、猛追をなんとか凌ぎ切った瀬戸熊がトップを獲得。試合後のインタビューでは「最後にちょっとバタついてしまいました。未熟者です」と反省の弁を口にしていたが、渋谷ABEMASの多井隆晴(RMU)に並ぶリーグ最多タイの3勝目でチームランキングを4位に引き上げた手腕は見事のひとこと。個人成績でも多井に次ぐ2位に浮上し、「僕個人としては上出来」と満足感を漂わせていた。
改めて麻雀というゲームの楽しさと恐ろしさが浮き彫りになったこの日の2回戦。ひとつ間違えれば大やけどをしかねない局面での瀬戸熊の打牌は、混乱した状況さえも自身の雀力でコントロールしようという強い意志を感じさせるものだった。得意の連荘モード「クマクマタイム」のお披露目とはならなかったが、どう転ぶかわからない競った展開だからこそ“卓上の暴君”の地力の高さが垣間見える好試合となった。
【2回戦結果】
1着 TEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)4万2500点/+62.5
2着 セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)2万7500点/+7.5
3着 EX風林火山・滝沢和典(連盟)1万6300点/▲23.7
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)1万3700点/▲46.3
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
【10月22日終了時点での成績】
1位 渋谷ABEMAS +334.0(16/80)
2位 赤坂ドリブンズ +125.7(14/80)
3位 EX風林火山 +20.5(14/80)
4位 TEAM雷電 +17.0(14/80)
5位 セガサミーフェニックス ▲49.5(12/80)
6位 U-NEXT Pirates ▲53.8(16/80)
7位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲340.1(18/80)
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