プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2018」10月26日の1回戦が行われ、ここまで絶不調だったKONAMI麻雀格闘倶楽部の佐々木寿人(連盟)が、Mリーグ初の役満・国士無双で悲願の初勝利をもぎ取った。チーム成績、個人成績ともに最下位に落ち込み、苦悩に苦悩を重ねた男が、ついに浮上のきっかけを掴んだ。
対局者は起家からセガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)、KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)、渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)、赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)。パブリックビューイング会場で多くのファンが見つめる中での一戦となった。
試合前まで7戦して未勝利、個人成績でも全21戦選手中の最下位に沈んでいた佐々木。なんらかの対策を立てたくなるところだが、親交の深いEX風林火山・滝沢和典(連盟)が作戦を聞いたところ、佐々木は「そんなもんあるわけない」と堂々と答えたという。どんな苦境にあっても“麻雀攻めダルマ”という異名通り、ひたすら前へ前へと攻める姿勢を貫く覚悟だった。
そんな姿勢が表れていたのが東2局。親番の佐々木はカンチャン待ちで即リーチ。松本もテンパイして追い付かれたものの、親のリーチはやはりプレッシャーになるもの。結果的に最終盤で松本の手を崩させて、1人テンパイで連荘となった。この場面について、中継で解説を務めた滝沢は「主導権を握っていくのが佐々木選手のスタイル。ひとつのステップをクリアした」と評価した。
続く東2局1本場でも、佐々木の攻める姿勢は変わらない。村上から先制リーチがかかる中でも、ひるまずに追っかけリーチを仕掛ける。するとアガリ牌を村上が一発で掴み、佐々木に放銃。リーチ・一発・ピンフ・イーペーコーの1万2000点(+300点、供託1000点)でひとまずトップ目に立った。
佐々木にとって、そしてMリーグにとって大きな節目になったのは、魚谷に次ぐ2着目で迎えた南1局1本場だった。佐々木の配牌はバラバラで、一見してアガリは厳しい形。しかしここで国士無双への道を選ぶと、次第に手が進んで12巡目にはイーシャンテン。村上にも国士無双のイーシャンテンが入る中で、先にテンパイを果たしたのは佐々木だった。その直後、下家の松本が佐々木のアガリ牌、白を引く。この白を松本がほぼノータイムで処理すると、佐々木の「ロン」という発声が卓上に響いた。Mリーグ開幕後、全試合を通じて初の役満となる国士無双で3万2000点(+300点、供託1000点)。首位を走る渋谷ABEMASの松本に強烈な一撃を浴びせ、佐々木は一気に6万点台のトップに浮上した。
その後はしっかりと後続を振り切り、8戦目にして念願の初勝利を手にした佐々木。試合前には自身のTwitterに「こんな成績なのに、皆様のコメントがとにかく温かくて」とつづっており、勝利後のインタビューでは応援してくれたファンに向けて「本当にありがたかったです」と心からの感謝を述べていた。
佐々木が「パブリックビューイングもある日で、一番いいタイミングでした」と振り返ったように、最高のシチュエーションで飛び出したMリーグ初役満・国士無双。この劇的な1勝をきっかけに、“持ってる男”佐々木寿人の逆襲が始まる。
【1回戦結果】
1着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)6万6400点/+86.4
2着 セガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)4万100点/+20.1
3着 赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)3100点/▲36.9
4着 渋谷ABEMAS・松本吉弘(協会)-9600点/▲69.6
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆大和証券Mリーグ2018 7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
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