外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案。新たに定められた在留資格「特定技能」は大きく2つに分けられ、"相当程度の知識または経験"の「特定技能1号」の場合、在留期間は5年・家族の帯同は認めず、"熟練した技能"の「特定技能2号」の場合は在留期間を撤廃、さらに家族帯同も認められるという内容になっている。
また、対象として想定されている業種は、外食、宿泊、介護、ビルクリーニング業、農業、漁業、飲食料品製造業(水産加工業含む)、素形材産業、産業機械製造業、電子・電気機器関連産業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業(空港グランドハンドリング・航空機整備)の14業種だ。将来の人手不足解消を歓迎する意見の一方、外国人に職を奪われてしまうのではないか、という不安の声も少なくない。
5日の参議院予算委員会で立憲民主党の蓮舫参院議員の「雇用期間の残っている外国人労働者がいた場合、日本人の雇用にも影響するのではないか」という質問に、山下法相は「雇用確保が満たされて、そして契約更新がなされなくなったような場合においては、在留期間更新の際に雇用契約がないということであれば、日本人の労働市場に対する影響というものは乏しいのではないかと考えている」と答弁している。
アメリカでは中間選挙を控えるトランプ大統領が不法移民対策に厳しい態度で臨む姿勢で、世論調査でも半数以上が「不法移民にもっと対応すべきだ」と回答している。すでに247万人の外国人が生活していることから、"隠れ移民大国"とも呼ばれている日本。安倍総理は蓮舫議員の質問に「移民政策をとるものではない」と回答しているが、懸念は無いのだろうか。5日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、この問題を議論した。
エジプト生まれのタレント・フィフィは「今、世界中で優秀な労働者が奪い合いになっているが、経済状況が良くなってきたアジアでは賃金も上昇している。そんな中で、本当に日本に来てくれるのかという疑問もある。すでにコンビニでもたくさんの外国人労働者の方が働いているが、何か国語も話せるような、単純労働に留めておいていいのかという方もいる。日本人の職が奪われるという危機感を覚えているのなら、そうならないよう教育レベルを上げ、頑張ればいい話。外国人労働者はそういうハングリー精神を持ってやってきているし、ただ国民を守るだけでは本人としてのレベルが下がってしまう」と指摘する。
その上で、「トランプ大統領の主張は、ある種アメリカ人の本音だと思う。世界を見ても、トランプ大統領のような人は珍しくはないし、そういう人たちが政権を取り始めている。優秀な外国人労働者に仕事を奪われるのではないかというのも、ヨーロッパの人々が悩んできた問題。移民をたくさん受け入れたがゆえに不満を持った国内の若者たちが難民に対して不満をぶつけたりする。そこから日本が何を学ぶかだ。例えば外国人労働者の子どもたちが通う学校はあるのか。そこでの宗教と給食の問題はどうするのか、制度を整えた上でないと、もしかするとアメリカ以上の状況になってしまう可能性がある」としながらも、「昔は道を歩いていると"外人だ"と指を指されることもあったが、今は外国人やハーフの子も街に溢れていて珍しくもなんともない。日本は保守的だから一つの民族なんだと勘違いしている人もいるかもしれないけど、世界のモデルになるような寛容性が日本人にはあると思う」と訴えた。
また、昨年、多くの国を見て回ってきた作家の乙武洋匡氏は「日本には日本語や"空気を読む"という特殊性があり、働くのは難しいと思う。多種多様な価値観を認める社会になっていく必要があると思う。例えばロンドンでは土日は絶対に働かないと決めていたり、5時になると帰ったりする方が多いが、その労働力を補っているのが主にポーランド系の移民だった。しかしロンドンの人たちは彼らに感謝しているというよりは、職を奪われていると感じていて、それがブレグジットにつながった。日本でも同じことが起こりうると思う」との見方を示した。
そしてスマートニュースメディア研究所の瀬尾傑氏も「日本は排他的だと語られがちだが、歴史的に多様な文化・価値観を受け入れてきた国だ」とした上で、「今の日本には"技能実習制度"という名目で海外から安く労働力を呼んでブラックな環境で働かせているという実態がある。外国人労働者の受け入れ拡大を議論するのであれば、まずはそのダブルスタンダードをやめさせるべきだ。そして、移民ではないと言いながら、永住権を認めると言っている。それならば受け入れるための統合的な政策や心の準備を整えておかないと、実態と国民意識とのギャップが生まれ、不況時は外国人労働者を悪者にしかねない」と警鐘を鳴らした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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