プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2018」11月8日1回戦で、セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)が、ラス目で迎えた南4局に親の倍満をアガってトップを獲得した。“天才”と称される女流雀士が大逆転で自身2勝目、チームの通算6勝目を挙げた。
対局者は起家からTEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)、赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)、KONAMI麻雀格闘倶楽部・高宮まり(連盟)、セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)と、リーグの下位にあたる4位から7位のチームが揃った。中盤戦にかけて上位陣に食らいついていくために、どの陣営も是が非でも勝利が欲しい状況で迎えた一戦だった。
茅森は10月30日の1回戦でMリーグ初勝利。その後はセガサミーフェニックスのチーム練習で4連勝と好調を維持していた。試合前にはスマートフォンを眺めてイメージトレーニングをする姿をチームのTwitterに投稿。実際には「麻雀の映像ではなく、緊張をほぐすためにドラマを見ていました」とのことだが、天才肌の茅森らしい独自の調整方法で対局に向けての集中力を高めた。
東1局3本場、茅森は親番の瀬戸熊の連荘を三色同順・赤の2000点(+900点、供託1000点)でストップし、序盤での独走を阻止。しかしその後は手牌が入らず、他家の激しい点棒の応酬を横目にしっかりと守備を固めてチャンスを待ち続けた。
南3局では発・赤・ドラ2の満貫をテンパイ。しかしドラの東が3枚重なり、暗刻になっていた五万を切って高宮への放銃となってしまった。ラス目で南4局を迎えた時点で、トップの村上とは2万9400点差。中継の解説を務めていたEX風林火山・勝又健志(連盟)も「村上さんがかなり有利な状況です」と語る中、親番の茅森は逆転をまったく諦めていなかった。
配牌にドラの5索が2枚というチャンス手が入ると、茅森は七対子へ一直線。5巡目にかけたリーチは、先に切っていた四万のスジとなる七万の単騎待ち。このリーチに対して現物のない村上が、スジを頼って七万を打った。リーチ・七対子・ドラ2・赤に加えて、裏ドラが2枚乗って親の倍満・24000点を直撃。あまりにも鮮やかな逆転劇に、視聴者からは「天才すぎる」「一撃必殺」「これは事件だ」「天才恐るべし」といった大興奮のコメントが無数に寄せられた。
普段はポーカーフェイスの茅森も、この劇的なトップには「ずっと苦しくてオーラスもラス目だったので、すっごく嬉しいです」と喜びを隠さなかった。トップと4着の順位ポイントの違いを勘案すると、実に10万4000点相当の価値があった茅森の一撃。試合を見つめた麻雀ファンは“天才の閃き”と表現するほかない土壇場での覚醒の余韻に浸っていた。
【1回戦結果】
1着 セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)3万6600点/+56.6
2着 赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)3万1300点/+11.3
3着 TEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)1万9000点/▲21.0
4着 KONAMI麻雀格闘倶楽部・高宮まり(連盟)1万3100点/▲46.9
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆大和証券Mリーグ2018 7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
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