本物のプロは、鉄壁の守備でもファンを魅了する。11月16日に行われたプロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2018」の2回戦で、U-NEXT Piratesの小林剛(麻将連合)が役満・四暗刻のテンパイを崩して放銃を回避するという離れ業を披露。顔色ひとつ変えずに役満を降りる“麻雀サイボーグ”の冷静すぎる決断が、視聴者を大いに沸かせた。
この日の対局で、小林は東場でリードを奪ってトップを快走していた。しかし南1局にEX風林火山・勝又健志(連盟)の大連荘が始まり、4万点近くの差を付けられた2着目に転落。まずはしっかりと2着をキープするのが最優先という状況で、南1局の6本場を迎えた。
ここで小林に思わぬ大物手が入った。7巡目に四暗刻への手変わりを含む三暗刻をテンパイ。四暗刻ならトップの勝又を一気に逆転可能ということもあり、小林はアガリと変化の両睨みのヤミテンに構えた。すると8巡目に対面のセガサミーフェニックス・魚谷侑未(連盟)が二・五万待ちのリーチ。このリーチに対して小林は1枚ツモるごとに読みを働かせながら、自身の手を維持していった。
11巡目、小林はついに四暗刻をテンパイ。加えて三色同刻のオマケつきということで、中継で解説を務めていた赤坂ドリブンズ・村上淳(最高位戦)も「しかも三色同刻ですよ。こんなことあります?」と興奮気味。しかし次巡、小林が引いたのは魚谷のアガリ牌である五万だった。この五万を魚谷の本命と読んでいたのか、長考に入る小林。実況、解説、そして視聴者の注目が集まる中、およそ30秒後、小林は表情を変えることなく四暗刻のテンパイを崩して9索を切った。
あまりにも見事な放銃回避に、解説の村上も「四暗刻を降りる人なかなかいないですよ。見ましたか? 今の……」と驚嘆。視聴者コメント欄も熱狂状態となり、「これがプロだわ」「カッコよすぎる」「これはRTDリーグ覇者」「鳥肌立った」「小林剛天才だ」「役満を降りられる男」といった絶賛の声で埋め尽くされた。
同局は魚谷の5200点(+1800点、供託3000点)のツモアガリとなったものの、結果的に小林は2着を死守して半荘を終えた。3着の魚谷との差が700点、4着のKONAMI麻雀格闘倶楽部・高宮まりとの差が1300点という大接戦になったことを考えると、この放銃回避には数万点分の価値があったと言えるだろう。
まるで漫画『ノーマーク爆牌党』の登場人物・鉄壁保の「爆守備」を彷彿とさせるような驚異のディフェンス。プロとアマでもっとも大きな違いの生まれるポイントのひとつである守備力(放銃率)という面において、小林は超一流の技術と決断力をまざまざと見せつけた。Mリーグ開幕以降、いまだラスなしと明確な結果で自身のスタイルの正しさを証明しているスーパーデジタル雀士が、豪快なアガリだけが麻雀の華ではないことをあらためて教えてくれた。
◆大和証券Mリーグ2018 7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
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