世界に衝撃を与えた、アメリカ在住のサウジアラビア人記者・カショギ氏殺害事件について、米メディアは「"CIAがサウジアラビアのムハンマド皇太子が殺害を命じた"と結論づけた」と報じた。
報道によると、CIAは皇太子の弟で駐米大使のハリド王子とカショギ氏の電話を独自に傍受。そこでは結婚手続きの書類を求めるカショギ氏に対し、ハリド王子が「(トルコの)イスタンブールのサウジアラビア総領事館に行って受け取るのがいい。安全だ」と話しているといい、それがムハンマド皇太子からの指示だったというのだ。これについてジョン・ブレナン元CIA長官は「ムハンマド皇太子の個人的な承認なしで実行することは考えられない。皇太子は今、CIAの綿密な調査に耐えられる言い訳を考えているはずだ」と指摘している。
殺害時の音声データを入手したというトルコ政府は「殺害命令はサウジの最高レベルから出されたものだ。我々は殺人が計画的な作戦によるものだという強い証拠を持っている」と主張。15人の暗殺チームの中で遺体を解体したとされているのはムハンマド皇太子の側近の軍医だといい、監視カメラにはムハンマド皇太子の警護担当者が総領事館に出入りする姿も映っているという。
24日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した国際弁護士の湯浅卓氏は、カショギ氏について「ボス(おじ)はロッキード事件の裏金にも絡んでいた可能性がある、"死の商人"と呼ばれた有名な"ミスター・カショギ"だ。その甥、つまりカショギ氏のいとこはダイアナ妃と交通事故で謎の死を遂げた愛人だ。その"ミスター・カショギ"が昨年亡くなったことで狙われ、とどめを刺されたのだと思う。米メディアに掲載された保守系の意見として、"カショギ氏は政府を転覆したい側の人間だとムハンマド皇太子たちに解釈された可能性がある"という論説も出ている」と話す。
また、情報を握るトルコについては「エルドアン大統領は2年前のクーデターで危ない目に遭ったが、それを仕掛けたのがアメリカのCIAで、ずっと人質にしていたアメリカ人牧師はその手先だという論理だ。カショギ氏は10月2日に総領事館に入ったが、それから数日後にトルコが牧師を解放している。ここには当然、CIAとトルコ政府の間でカショギ氏を巡る何らかのトークがあったと推定できる。それが今回の事件が出たきっかけの一つになっている可能性がある」と推測。
一方、当のムハンマド皇太子は「これはサウジアラビアにとっておぞましい事件だ。いかなる犯罪であれ、正義の裁きが下されるだろう」と述べており、サウジアラビア検察は情報機関が派遣したチームが現場判断で殺害したとして、ムハンマド皇太子の関与を完全否定、容疑者5人に死刑を求刑している。
また、「この件が事実なら非常に遺憾であり、怒りを覚える。真相を突き止め、厳しい処罰を科す」としていたトランプ大統領は20日、「皇太子は関与したかもしれないし、違うかもしれない。何よりも大事なのはアメリカだ。アメリカ・ファースト」「サウジアラビアは何千億ドルも軍事品を買ってくれている。サウジアラビアにバカなまねをしてアメリカ経済をぶち壊すつもりはない」として事件の"幕引き"を示唆。民主党が過半数を得た下院を中心にCIAに調査内容の報告を求める動きもある。トランプ大統領の判断への強い反発も予想される。
湯浅氏は「共和党の中からも、トランプ大統領が経済的な理由で今回のことを簡単に見逃し、やむを得ないという主旨の発言をしていることに非常に強い反発が出ていて、孤立が深まっている。ロシア疑惑に替わってサウジ疑惑が中心テーマになる可能性も高くなってきた」と話していた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)
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