プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2018」12月14日の1回戦で、渋谷ABEMAS・白鳥翔(連盟)が自身5度目のトップを獲得。チーム・個人ともに予想外の下位に低迷する中、大接戦を制して反撃の狼煙を上げた。
対局者は起家からセガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)、EX風林火山・滝沢和典(連盟)、渋谷ABEMAS・白鳥翔(連盟)、TEAM雷電・黒沢咲(連盟)。この日を復調の足がかりとするため、白鳥は試合前からフル出場が明言されていた。
試合前の時点で個人19位と、200ポイント近いマイナスを背負っていた白鳥は、Mリーグでポイントを伸ばす黒沢や赤坂ドリブンズ・園田賢(最高位戦)の麻雀を熱心に研究し、自身のスタイルを修正してこの一戦に臨んだ。じっくりとメンゼンで手を作り一撃で相手を沈める黒沢の“セレブ打法”を参考に、「柔軟なところが僕の持ち味」とMリーグ仕様の“小金持ち打法”を開発。1回戦の対戦相手にはセレブこと黒沢も含まれており、バージョンアップした麻雀を披露するのにおあつらえ向きの舞台となった。
白鳥の研究成果が活きたのは東2局。11巡目、全員がイーシャンテンの状況で足踏みする中、白鳥は鳴けばテンパイの五万を「セレブになったつもりで」と華麗にスルーした。この判断が功を奏し、次巡に自ら五万を暗刻にして先制リーチ。15巡目にアガリ牌の6索をツモり、リーチ・ツモ・タンヤオ・赤2の8000点でトップ目に浮上した。
その後は誰も連荘できず、トップからラスまでが5100点差という大混戦のままオーラスに突入。全員にトップとラスの可能性が残る極限状況下で、トップ目の黒沢まで1600点差の白鳥は大きな選択を迫られた。10巡目にテンパイを果たすも、安目の出アガリは平和のみの1000点。ツモアガリか黒沢からの直撃、もしくは5索で高目のイーペーコーならばヤミテンでも逆転という場面で、リーチかヤミテンかしばし逡巡した後、白鳥はアガれば無条件でトップとなるリーチを選択した。試合後のインタビューでは「今でもどちらが正解だったのかわかりません」と振り返っていたが、結果的にこの手を一発でツモ。リーチ・一発・ツモ・平和の5200点で、全8局のしびれる電撃戦を鮮やかに制した。
一時は首位を独走していたが、ここ最近はファイナルシリーズ出場圏外にまで転落していた渋谷ABEMAS。それだけに白鳥は「チームとしてもかなり崖っぷちくらいの状況だったので、本当に嬉しいです」と安堵の表情を見せていた。“小金持ち打法”でセレブ黒沢に競り勝ちながらも、「まだまだ未完成」と貪欲に試行錯誤を繰り返す白鳥の伸びしろが、渋谷ABEMAS再浮上のカギを握りそうだ。
【1回戦結果】
1着 渋谷ABEMAS・白鳥翔(連盟)3万1200点/+51.2
2着 TEAM雷電・黒沢咲(連盟)2万4600点/+4.6
3着 EX風林火山・滝沢和典(連盟)2万3400点/▲16.6
4着 セガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)2万800点/▲39.2
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆大和証券Mリーグ2018 7チームが各80試合を行い、上位4チームがプレーオフに進出するリーグ戦。開幕は10月で翌年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
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