競泳の池江璃花子選手が白血病を公表したことを受けての発言が国会の場でも大きな批判を浴びている桜田義孝・オリンピック・パラリンピック担当大臣。火消しに追われる中、13日の衆議院予算委員会で「昨日の私の発言の中で『がっかりしている』『盛り上がりが若干下火になるか心配だ』という点については、配慮を欠いたとお詫びをし、撤回をさせていただきたいと思う」と謝罪した。
しかし、ネット上には問題視されている「がっかり」の前後の発言を踏まえると、それほどひどいことは言っていないのではないか、との指摘も上がっている。実際、問題となっている囲み取材の映像を見てみると、「金メダル候補ですからね」の発言の前には「病気のことなんで早く治療に専念していただいて、一日も早く元気な姿に戻ってもらいたいというのが私の率直な気持ちだ」と語っており、「がっかりしております」の後にも「やはり早く治療に専念して頑張っていただいて元気な姿を見たいですよ」と続けており、全体的に池江選手のことを気遣い復帰を期待しているとも受け取れる内容となっている。
それでも大臣はその分野の最高責任者ではなくてはならないはずだ。同じく13日の衆議院予算委員会では野党の議員からの「オリンピック憲章は当然読んで理解していると思うがいかがだろうか」との質問に「話には聞いているが、自分では読んでいない」と、またしても問題のある答弁。さらに、「なぜ失言とされる発言が多いのか。ご自身でどういう風に反省されているのか」と追及されると「もうちょっと発言に対しては慎重を期すべきだった。それが若干…というかだいぶ足らなかった」と回答。
桜田大臣といえば、サイバーセキュリティ担当大臣も兼務しており、昨年には「自分でパソコンを打つということはない」「（USBメモリーについて）使う場合は穴に入れるらしいが、細かいことは、私はよく分からない」などと発言したことも問題視された。
テレビ朝日政治部の足立直紀デスクは桜田大臣について「何度か話をした実感だが、ほんわかした良い人タイプで、軽口も言ってしまうタイプ。ただ、それが国会で出てはいけないし、今回の発言は軽口とは言えない。急に聞かれたという中で、自分のイメージしていることとちょっと違う"がっかり"という表現を使ってしまったのだと思う本来であればしっかり言葉を選んで、噛み締めて話すべきところだった」と話す。
その上で「政治家の発言は経験値がモノを言ってくる部分もある。桜田さんは初めて大臣になったので、そこら辺のさじ加減が分からなかったとも言える。また、人気というのも影響する。小泉元総理も掘り返してみると、本当は引っかかってもいいんじゃないの、というような発言を結構している」。
「なぜ選ばれたか私は分かりませんが、総理が適材適所と思って選んで頂いた」とも発言している桜田大臣。そもそもなぜ五輪担当大臣であり、サイバーセキュリティ担当大臣なのだろうか。大臣は専門知識がなくても、失言続きでもできるものなのか。
東京工業大学教授の柳瀬博一氏は、大臣の人事について「日本の大臣の選出方法は大まかにいうと３つくらいある。一つは官僚のトップだった人が最終的に大臣になるパターン。かつての宮沢喜一総理もそう。もう一つは派閥の力と、政治家として強い人。桜田大臣の場合も決して五輪について詳しいわけではないということは当人も言っているが、安倍さんが総裁選のために二階派の票がどうしても必要だった。派閥人事で大臣になる人はいっぱいいる。あとは民間登用だ」と話す。
足立デスクは「おそらく安倍さんも組閣当日まで誰をどこに入れれば適材適所か、派閥の論理も考えながら"パズルの組み替え"みたいなことをしていた。衆院なら当選５回以上、参院なら当選３回以上で閣僚経験のない国会議員は"入閣待機組"と呼ばれ、現内閣にも初入閣組が12人いる。当選７回を数えていた桜田さんもその一人だった。良い人ではあるので、入れてあげたいと推す声もあったと思う。想像だが、桜田さんは最後の方、オリンピック・パラリンピック担当はある程度やることが決まっているし、重要度もそんなに高くないかな、という中で決まっていったと思う。また、サイバーセキュリティ担当については、任命された当日は言われておらず、色々な割り振りの中で"おまけ"みたいな形で所管することが決まった。別にIT担当大臣としては平井卓也議員もいるし、サイバーセキュリティが所管されている、というぐらいの感じ。それにしてもド素人なので、もっと頑張っていきただきたい」とした。
慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「大臣としての資質を吟味するというより、"相手を追い詰めるチャンスだ"、という攻撃になってしまっている気がする。今回も"がっかりです"という言葉をみんなが取り上げることで、かえって池江選手のストレスになるのであればくだらないことだ」と指摘していた。（AbemaTV／『AbemaPrime』より）
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