先月5日、東京・赤坂の路上で貴金属取り扱い会社の男性二人が暴行を受け、現金約8300万円が入ったキャリーバッグを奪われる強盗傷害事件が発生した。事件直後にカンボジア国籍のドゥオン・サブーン容疑者ら男三人が、七日には主犯格とみられる指定暴力団山口組系の組員・本多涼容疑者がそれぞれ、強盗傷害の疑いで逮捕された。しかし、今月に入って事件は進展をみせる。18日、同容疑で19歳の男子大学生が逮捕された。捜査関係者によると、この大学生は犯行の指示役とされ、関東の有名大学に通う1年生で頭脳明晰だという。
24日に放送された『Abema的ニュースショー』では、元埼玉県警捜査一課刑事の佐々木成三(42)氏が登場。大学生と暴力団を繋ぐ闇について解説を行った。冒頭、「近年、大学生と暴力団の関係は非常に密になっている」と話した佐々木氏は、背景に暴力団対策法の施行や暴力団排除条例の厳格化があると指摘。“シノギ”という暴力団にお金を渡す企業の存在が減少していることを理由に挙げた。
つまり、一連の流れを受けて企業や店舗から「大金を儲ける」ルートを失った暴力団が、一般人から資金を巻き上げる窓口として大学生を利用する機会が増えているのだという。出会いのきっかけの大半はSNSで、暴力団の中にいる“インテリヤクザ”が「いいアルバイトがある」と大学生に近づき、共犯や犯罪の片棒を担がせているのだという。今回の事件も同様に、携帯を利用し、SNSで接触を図ったとされている。
また佐々木氏は現在、悪役専門の芸能事務所に所属する俳優として活動するも、以前、暴力団員として活動していた或布理萬(あるふ・りまん)氏に取材を実施。そこで或布氏はその実態について「暴力団は迷惑メールやスパムメールを上手に活用し、(暴力団であることを)気づかれないようにやっている。今の若い子は自分が(暴力団の)準構成員に(いつの間にか)なっていることを知らない」と明かすとある大学のイニシャルを例に挙げて「そこにLSDやMDMAなどの違法薬物を卸す」など、より具体的な話を展開した。
さらに佐々木氏から最近増えているという大学生と暴力団の“立場逆転”の意外な関係について話を振られた或布氏は「大学生が考えたシステムやビジネスを暴力団のシノギに使いたいので、(暴力団は)知恵を借りる」と認める一方、「最終的には大学生の弱みを握り、立場が逆転するようにしている」と説明。最後には自身の経験を踏まえ「昔から義理も人情も無い。ヤクザは詐欺師です」と言い切った。
すると東京大学大学院卒業の元日経新聞記者で、元セクシー女優でもある社会学者の鈴木涼美氏(35)は「もちろん暴力団には問題があるし、保護しろなんて言えないけど」と前置きしたうえで、かつてセクシー女優として活動していた時のことを例に挙げて「現在は法の手が入ってクリーンになったが、当時の業界には薬など様々な人間模様があった。暴対法で暴力団を取り締まるのはいいが、その世界でしか生きられない人たちに行き場を与えられないのであれば、暴対法を作る意味がない。その結果として、より制度の整っていない業界に(犯罪の温床として)沈んでいくだけ」と問題点を指摘することも忘れなかった。
(C)AbemaTV
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