麻雀で魅せ続けた3人の男たちが頂点に立った。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」が3月31日、全日程を終了し、赤坂ドリブンズが初代Mリーグ王者として頂点に立った。レギュラーシーズンをぎりぎりの4位で通過したが、ファイナルシーズンでは初日から3連勝で一気に首位浮上。そこからも24戦中10回のトップを取るなど、圧倒的な成績で駆け抜けた。園田賢(最高位戦)、村上淳(最高位戦)、鈴木たろう(協会)というアラフォー男性3人が、麻雀の魅力を存分に引き出した戦いぶりで“おっさんずV”を成し遂げた。
華々しい表彰式のステージの中央で、3人が高々と賞金プレートを掲げた。ドラフト1位指名された園田は「めちゃくちゃうれしいです。華もないおっさんたちでございますが、麻雀の内容で魅了しようとして、幸運にも初代王者になれました。めちゃくちゃうれしいです」と、最高の笑顔を見せた。38歳の園田、43歳の村上、45歳の鈴木。麻雀プロでは指折りの実力者だが、少し不慣れな華々しいステージに、試合中とはまるで違う表情で喜んだ。
とにかく「期待値を追う」。運と実力が混合する麻雀において、この3人はとにかく勝利につながる最短の道を探り続けた。レギュラーシーズンで、その評価を一気に高めたのが園田だ。麻雀界では名の知れた実力者ながら、タイトルとは無縁。それでも開幕から「魔法の鳴き」と称される仕掛けを何度も見せ、ファンたちをうならせた。「麻雀の内容、強さをお見せできればと思ってやってきました」と語ったが、アマチュアでは及ばない仕掛けの発想が、次々と卓上で具現化された。
実直に戦い続けたのが村上だ。リーグ1の明瞭な発声と、きびきびとした態度。そして代名詞でもある覚悟を決めたリーチ。レギュラーシーズンこそ不調に終わったものの、ファイナルシリーズでは、このリーチがことごとく成功し、チームの上昇気流をさらに盛り上げた。「ファイナルでも負けたら『麻雀プロ辞めなきゃな』くらいの思いでやっていました。2人に引っ張ってもらって、調子が上がったイメージです」と話したが、ファイナル初日でつかんだ涙の勝利は、本来の村上が戻って来た節目でもあった。
ファイナルシリーズのMVPという賞があれば、まちがいなく受賞するのが鈴木だ。10戦してラスなしの5勝、8連対(2着3回、3着2回)。1人で339.2ポイントも稼ぎ出し、「ゼウス」の異名どおりにチームを他の3チームから手が届かない、雲の上まで引き上げた。「ファイナルに入って、一気にみんな調子がよくなって、そのまま突き抜けることができたなと思います」とチームの勝利と強調したが、鈴木の快進撃が他の2人の戦い方を楽にしたのは言うまでもない。
誰よりも麻雀というゲームを追及した3人の勝利とも言える。勝ち負けに関わらず、この一局、この一打が、正しかったのか間違っていたのか。たまたま勝てたのか、運悪く負けたのか。時にはヒートアップして、ケンカ腰にもなるほど半年間、麻雀論をぶつけ合った結果が、最後に実った。最善を尽くしても、時の運で成績にブレは出る。だとしても、そのブレの中心を上昇させる努力はできる。この優勝が100%、実力だけで勝ち取れたものではないと断言する3人だからこそ、より強さに凄みがある。
半年後の10月からは、唯一このチームだけに許された連覇への道がスタートする。園田は「幸いにも初代チャンピオンになれましたが、まだここで終わりではないです。連覇、3連覇とできるように、研鑽を積んでいきたいと思います」と、また勝負師の顔に戻った。麻雀新時代を切り開くMリーグ。その初代王者となった3人が、来期も先頭で突き進む。
【最終結果】
1位 赤坂ドリブンズ +594.5(24/24)
2位 EX風林火山 +83.0(21/24)
3位 渋谷ABEMAS ▲147.0(21/24)
4位 KONAMI麻雀格闘倶楽部 ▲282.0(21/24)
※レギュラーシーズンポイントは半分持ち越し
◆Mリーグ 7チームが各80試合を行い、上位4チームがファイナルシリーズに進出するリーグ戦。開幕は2018年10月、2019年3月に優勝チームが決定する。優勝賞金は5000万円。ルールは一発・裏ドラあり、赤あり(各種1枚ずつ)。また時間短縮のために、全自動卓による自動配牌が採用される。
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