「闘いが終わっても芦澤一家」芦澤竜誠、『格闘代理戦争』を終え「プロのリングで見返してやろう」

　格闘リアリティショー『格闘代理戦争』のシーズン4は、K-1の団体戦という新形式で行なわれている。チーム4人のうち3人が試合に出場、勝った選手が続けて闘う「抜き試合」の団体戦だ。K-1のトップ選手たちがトライアウトとドラフトでチームを編成し、4月27日に1回戦を実施。予想を超える熱戦となった。

　芦澤竜誠率いる「芦澤一家」は、久保優太の「久保ファミリー」と対戦し、文字通り一進一退。芦澤一家の先鋒、ドラフトで久保ファミリーと競合した稲垣柊がKO勝利するも、そこからは勝った選手が次戦で負けるという展開が続く。それだけ、連続での試合は過酷なのだ。しかし、久保ファミリーの大将である此尾昴希が最後に2連勝を飾る。ボクシング出身の此尾だが蹴り技も使いこなし、芦澤一家の大将・中澤誠弥との闘いではハイキックでアゴを折り、判定ドローながらドクターストップでチームの勝利を決めた。

　結果として敗れた芦澤一家だが、試合内容を見ても力は紙一重。選手としては毒舌で知られる芦澤の、監督（セコンド）としての真摯な姿勢も観客と視聴者の心に残った。1回戦全体を通して何よりも感じられたのは、K-1という個人競技の中でのチームの“絆”だ。試合を終えたばかりの監督・芦澤に今回の闘いを振り返ってもらった。

芦澤　悔しいっすね。なんか自分の負けより……。

――自分の試合とは感覚が違いますか。

芦澤　違いますね。あいつらにはあいつらで背負うものがあって。人生かけてきてたんで。優勝して最高の舞台で闘わせてあげたかった。なんとしても勝たせたかったですけどね。でも一つ言えるのは、あいつらは記録としては負けたけど記憶に残る試合をしたんで。今日見た人は、あの3人のこと絶対覚えたと思うんですよ。みんな気持ちも折れてないし。単純に相手のほうが強かっただけなんで。あとは強くなるだけです。この経験を活かしてほしい。

――今回、応募してきた選手たちは「のし上がりたい、成り上がりたい」という野望を持っていますよね。

芦澤　間違いないっすね。

――その感覚は、かつての芦澤選手にも共通するというか。

芦澤　だから気持ちが分かるっていうか。「昔の俺でもそうしてたな」っていうことをするんですよね。特に中澤誠弥は4年くらい前から知ってる俺の後輩で。俺が有名になる前からつるんでて「有名になるにはどうしたらいいか教えるから来いよ」って。そういう関係なんで、余計悔しいですね。

――見ていて感じましたが、このルールで2勝するのは相当に難しそうですね。

芦澤　みんなドラフトで選ばれてますからね。レベルが揃ってるんですよ。でも今回の勝ち負けは、作戦とかじゃないですよ。単純に向こうの選手が強かった。格闘技に慣れてたっていうか。

――選手へのアドバイスは、普段セコンドにつく時とは違いましたか？　特に2試合目の選手の場合とか。

芦澤　中堅の高橋享祐の2試合目は、1ラウンドは「何が何でも倒しにいけ」と。で、2ラウンドはダメージもあったんで「とにかくローを蹴れ」って言いましたね。大将の誠弥のために相手を少しでも傷めつけておけっていう。結果、うまくいかなかったですけど。

――単に勝つだけじゃなく、最後まであきらめないで相手にダメージを与えるのも大事ですよね。敗れたとはいえ、大将の中澤選手も1ラウンドの闘いぶりは見事でした。単なるケンカ屋じゃないなと。

芦澤　それは間違いないっすね。ていうか、だからケンカも強いんすよ。よく思うんですけど「ド素人がケンカ強いとか言ってんじゃねえぞ」って。

――ただ暴れるだけではケンカにも勝てないと。最後はアゴを負傷して続行不能という形になりました。

芦澤　あれはもうできないですね。本人にも「無理すんな。（判定ドローで）延長いってもやらせないから」って言いました。「お前は頑張ったんだから充分だ。しょうがねえよ」って。

――ここで無理をするもんじゃないと。

芦澤　あのケガだったら俺が止めてなくてもドクターストップなんで。次、頑張ればいいんですよ。これで終わりじゃないから。

――今回、監督をやってみて芦澤選手自身も感じるものがあったんじゃないですか。

芦澤　みんな気持ちの強さを見せてくれて。俺ももっと気持ちを強く持たなきゃいけないなって思いましたね。享祐なんて、相手のほうが強いのにどんどん攻めていったじゃないですか。ああいう選手が、最終的に一番強くなるんですよ。今日出た3人はこれから絶対強くなりますよ。プロのリングで見返してやろうって。こうやってチームになったのも何かの縁なんで。

――気持ち的には、これからもチームというか。　　

芦澤　間違いない。闘いが終わっても、みんな芦澤一家です。

(C)AbemaTV

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