持ち時間5分、1手につき5秒が加算される超早指し戦「第2回AbemaTVトーナメント」の予選Aブロック二位決定戦、、菅井竜也七段(27)と佐々木勇気七段(24)の三番勝負が5月5日に放送され、佐々木七段が2連勝で本戦出場を決めた。もう1人の本戦出場者はブロック1位の近藤誠也六段(22)。
こんな将棋が指したかった。第1局に自分でも予想外と語る快勝を収めた佐々木七段が、疲労困憊しながらも満足そうに語ったのは、第2局の後だった。菅井七段の三間飛車に対して、佐々木七段は居飛車穴熊。お互いの勝利にかける思いと読み、判断がぶつかりあい、解説を務めた村山慈明七段(34)も「将棋を見ているのか、格闘技を見ているのか。Aブロックで一番の一局。見ていて迫力もあるし、内容も素晴らしかった」も絶賛するほどだった。
1手指すごとにわずかに増える5秒を頼りに、激しい叩き合いが続いた終盤戦。本来であればゆっくり丁寧に指すところが、思わず盤上の駒が乱れ、その駒をまた取るといった究極の勝負も、フィッシャールールならではだった。137手で勝利を掴んだ佐々木七段は「今日の目標だった、ボロボロになるまで戦うっていうのは、実行できたかなと思うのでよかったです」と、くたくたになりながらも将棋の世界に心身を投じるという事前に課題をクリアできた充実感にも浸っていた。
これで準優勝した前回大会に続く本戦出場決定。決勝では藤井聡太七段と1勝1敗の五分から敗れ、あと一歩で優勝を逃した悔しさがある。「今回は優勝を目指せるぐらい練習したいと思います」と、結果を求める。欲しいのは頂点に立ったという証だ。
敗れた菅井七段のコメント 本当にこれだけスピーディな対局というのは初めてで、日付を変えて、また指したいなと思ってます。また来年、こんな機会をいただけたらなと思っています。
◆AbemaTVトーナメント 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治九段の着想から生まれた、独自のルールで行われる超早指しによるトーナメント戦。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生九段が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選A~Cブロック(各4人)は、三番勝負を2回制した棋士2人が、本戦への出場権を手にする。本戦トーナメントは8人で行われ、前回優勝者の藤井聡太七段、タイトルホルダーとして渡辺明二冠がシードとなっている。
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