誠実で強い。そんな言葉が中村太地七段(30)を紹介する記事には、何度となく登場する。それだけ、この好青年棋士を伝えるものとして、ぴったりとはまるからだろう。その人柄と最後まで諦めない姿勢から、棋士の間でも後輩だけでなく同世代であっても尊敬を口にする者が少なくない。そんな中村七段が、短時間で精神をすり減らす超局地戦ともいうべき早指し棋戦に、前だけを見て挑戦する。
2006年、高校3年生となる4月に四段昇段でプロ入り。翌年には早稲田大学に進学し、学生棋士として活躍を続けてきたが、飛躍したのは2011年度だ。40勝7敗、勝率0.8511という圧倒的な成績を記録。中原誠十六世名人(71)が持つ0.8545という記録に迫り、勝率.850以上は史上2人目という快挙を達成した。かの藤井聡太七段(16)も昨年度、記録更新に迫ったが、最終的には0.8490。勝率.850というのが、どれだけ勝ちまくったかがよく分かる。