持ち時間5分、1手につき5秒が加算される超早指し戦「第2回AbemaTVトーナメント」の予選Cブロックの一位決定トーナメント1回戦(三番勝負)が5月26日に放送され、八代弥七段(25)が伊藤沙恵女流三段(25)に2-0のストレートで勝利した。女流棋界から初参戦となった伊藤女流三段も、同世代の男性棋士を追い詰めるなど大健闘だった。
全棋士参加の早指し棋戦で優勝歴がある八代七段が、同世代の女流棋士との熱戦で冷や汗をかいた。「(2局目は)終盤ずっと負け筋かなと思っていたので。正直、伊藤さんにこんなに攻められたの初めてだったんで、自分でも予期せぬ展開でした」と、勝者の晴れやかな顔とは遠い表情で搾り出した。小学生時代からよく知る間柄。昨年度、男性棋士相手に5勝5敗と五分の星を築いた伊藤女流三段の力に苦しんだ。
1局目を快勝で終えて迎えた第2局、終盤まで苦しい展開が続いた。伊藤女流三段の意欲的な指し回しに押され続けたが、そこから持ち前の粘りを発揮。持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算という独特な超早指し棋戦に「終盤、もう少し時間が欲しいなと思うところがいくつもあった」と、ルールにも手を焼いた。ただ、なんとか踏みとどまるのが八代七段の底力。想像以上の苦戦の末に手にした2連勝は、新たな刺激を得る機会にもなった。これで本戦トーナメント出場にあと一歩。「(一位決定戦は)本局以上に気を引き締めてというか、厳しい戦いになる。悔いが残らないように頑張りたい」と、挑戦者の精神で盤に向かう。
敗れた伊藤女流三段のコメント 2局目はちょっと勝ちそうになっちゃったので、自分でもあれ?と思いました。自分でも整理がつかないまま指し進めていってしまった。全然読みにない手を指されてしまって、気付いたら悪くなって負けちゃったという感じですね。
◆AbemaTVトーナメント 将棋界で初めて7つのタイトルで永世称号の資格を得る「永世七冠」を達成した羽生善治九段の着想から生まれた、独自のルールで行われる超早指しによるトーナメント戦。持ち時間は各5分で、1手指すごとに5秒が加算される。羽生九段が趣味とするチェスの「フィッシャールール」がベースになっている。1回の顔合わせで先に2勝した方が勝ち上がる三番勝負。予選A~Cブロック(各4人)は、三番勝負を2回制した棋士2人が、本戦への出場権を手にする。本戦トーナメントは8人で行われ、前回優勝者の藤井聡太七段、タイトルホルダーとして渡辺明二冠がシードとなっている。
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