“痴漢撃退用ハンコ”は「証拠にならないケースも」 抑止効果の一方、冤罪を心配する街のホンネ
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 痴漢をした相手の手などにハンコを押し、ブラックライトで照らすと浮き上がる手のマーク。これはデジタル化の煽りを受け、需要激減で苦境に立たされたハンコ業界が編み出した画期的アイデア「痴漢撃退用ハンコ」だ。一つ2700円で行われたテスト販売では、わずか30分で完売するなど注目度と需要の高さが改めて浮き彫りとなった。

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 痴漢被害に遭遇した際に「なかなか声が出せない」という女性の思いを代弁する形での商品化は女性に好評だが、一方では痴漢冤罪の懸念も否定できない。ある男性は「自分がハンコを押されたら、それが証拠になってしまい、やっていないことを証明することが難しい」と複雑な心境を明かした。

 2017年には上野駅で痴漢を疑われた40代の男性が逃走。ビルの隙間で転落死したと思われる状態で発見された。横浜市の青葉台駅でも、痴漢を疑われた30代男性が線路に飛び降りた直後、ホームに進入してきた電車にはねられて死亡する事故なども発生している。痴漢行為を疑われた場合、その後の対応が厄介であるという認識が、こうした事故が発生する要因とも言われている。現在では、痴漢冤罪保険などという少額保険が商品化されており、痴漢冤罪に対する危機感の高まりを表している。

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 「ハンコが押されているからといって、警察は証拠にはしないだろう」と話すのは、元埼玉県警捜査一課の刑事で実際に私服の鉄道警察隊に所属していた経験もある佐々木成三氏。佐々木氏は「原則的に触っている手を掴むというのが捜査における証拠の一つ。ハンコが押されているからといって、警察は証拠にはしないだろう。どのような状況で押されたハンコなのかは難しい判断になる」と私見を述べると「被疑者が否認することを前提にして、警察では触ったとされる女性のスカートの繊維が男性の手に付着しているか、肌に触ったのであれば汗や皮脂はどうかなど、科学捜査を導入して立件をしている」とその理由を説明した。

 佐々木氏の話を受けたきらり法律事務所の弁護士・中川みち子氏は「間違えて押す」というのは発生し得ることだと痴漢冤罪のリスクを指摘すると「女性にとっては持っていて安心だったり、持っていると示すことでけん制したりするためのグッズだ」と話し、痴漢撃退用ハンコの持つ抑止効果について期待を示した。(AbemaTV『Abema的ニュースショー』より)

(C)AbemaTV

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