「第29回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」(韓国・機張)のスーパーラウンドの第2戦。9月6日に行われた日本対韓国の一戦は、宿敵同士の戦いらしく、終盤までもつれる展開の末、日本が延長10回、サヨナラ負けで涙した。開催地が韓国ということもあり、アウェーの雰囲気で包まれる中、U-18侍ジャパンの選手たちはフェアプレーに徹していた。1点を争う緊迫した場面でも、瞬時に見せた気遣いタッチが、試合に余計な雑音を招かず、好試合へと導いた。
場面は5回。韓国が2死ながら一、二塁とチャンスを作り、2番キム・ジチャンの打球はライト前へ。この打球に対し、ライトに入っていた宮城大弥(興南)が投手らしく強肩をいかしてレーザービーム。二塁走者パク・ミンを悠々と刺すほどの好返球だった。
気遣いがあったのは、この後だ。捕手の水上桂(明石商)は、大きく避けた走者にタッチが不十分と、素早く追いかけたところ、パクはホームベース方向へ向かうことができず滑り込んだまま諦めた。水上のミットは、タッチできる最短距離として、パクのヘルメットに向かっていたが、瞬時にパクが頭を下げたのを察知するや、必要以上の力を入れることなく、背中にしっかりとタッチした。
野球の世界では、ちょっとしたプレーが遺恨となることがある。このシーンであれば、アウトになることを悟ったパクに対し、水上が激しく頭にタッチをすれば、感情を煽ることにもなりかねない。世界一を目指す中、相手は最大のライバル。普段以上に昂ぶっても仕方ないところだが、日頃から意識していないと出ない気遣いプレーだ。
9回。レーザービームを披露した宮城が投手としてマウンドにいたが、2死一塁からイ・ジュヒョンの頭部に死球を当ててしまった。即座に帽子を脱いだ宮城に対し、一塁上のイも、ヘルメットを脱いでおじきを返すという場面もあった。これには視聴者からも「いいシーンだった」という声も多数起きていた。
試合結果としては、ミスに泣いた日本が涙を飲む形になったが、日本の野球の精神はしっかりと示した一戦だった。
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