進路に悩んだひとりの高校生は、ボートレース場でかつてないほどの刺激を受けた。「1周1マークの迫力。水しぶきが輝いて見えた」。平成生まれ初のGIウイナー・羽野直也がボートレーサーを志した瞬間だった。
AbemaTV「アベマde週末ボートレース~Friday~」9月6日放送回で特集されたボートレーサー羽野直也は、2014年5月にボートレース若松でデビューした。初出走は3着。「6コースからの3着は、それだけの価値がある。1着だけじゃない」。養成所教官の教えを胸に、事故をせずに取れる着順をきっちりと狙った。その後は徐々に成績もアップ。ただ、「勝率はあっても連対率がなかった」とA級の壁は想像以上に高かった。
羽野は、悩み抜いた末にレーススタイルを変更。「レース自体のパンチは出なくなるが、まずは上の舞台で走ることが先」と、着順を優先して「差し」を選択した。その選択が功を奏して2017年後期からはA1級に昇格。ボートレース大村での平成生まれ初となるGI初優勝も、自身の成長を支えた「差し」で手繰り寄せた。
「余裕がなかった」。3回予選を突破するなどSG戦線で奮起した2018年を、羽野はこう振り返った。「予選突破もギリギリ。まだまだだと思う」と、現状に満足はしていない。目指すレーサー像は「強い選手」。「定義は色々あるが、強いは強いしかない。結果、雰囲気、人としてもしっかりしている選手が強い」と羽野は熱く語り、「ひとつひとつ、やれることをやる。結果は後から付いてくる」と自らを奮い立たせた。
(C)AbemaTV