悲願達成!木村一基九段が史上最年長46歳3カ月で初タイトル ファンに愛されし“中年の星”/将棋・王位戦七番勝負
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 将棋王位戦七番勝負第7局が9月25・26日に東京都千代田区の「都市センターホテル」で行われ、挑戦者の木村一基九段(46)が豊島将之王位(名人、29)に110手で勝利し、シリーズ成績4勝3敗で王位のタイトルを獲得した。46歳3カ月での初タイトルは、従来の記録を9歳近く更新する、史上最年長記録。多くのファンから愛される“中年の星”が、悲願達成で大きく輝いた。

 ようやくたどりついた。タイトル戦7回目の挑戦。相手は名人位も持つ豊島王位。ベテラン代表として、木村九段が現役最強の大きな壁を乗り越えた。同シリーズは第1、2局と連取され、ファンの間でも「やはり豊島強し」といった雰囲気が流れていた。それでも第3、4局と連取して逆襲すると、周囲の評価も一変。互角以上に渡り合う様子と、最年長タイトル獲得への期待から、局を重ねるごとに大きな声が寄せられた。

 運命の最終局、序盤は角換わりから進行。どんどんと指し進める豊島王位に、一時は持ち時間で3時間以上離されたが、中盤以降に盛り返すと、持ち時間でも追いつき、熱戦に持ち込んだ。同シリーズでは手痛い逆転負けもあった中、悲願のタイトルに一歩ずつ近づくように、慎重に指し進めると、豊島王位の投了によって、ついにその時が訪れた。

 9度目の正直だった。1997年に四段昇段、プロデビューを果たして以来、プロ歴22年余りでタイトルに挑戦すること6回。さらにタイトルにあと1勝と迫ってから8局指したものの、あと一歩及ばなかった。竜王戦1組、順位戦A級。40代後半に入ってもなお「千駄ヶ谷の受け師」と異名を取る巧みな受けと粘りで、若手に負けない将棋を指してきた。

 今回の王位戦七番勝負は、同時期に行われた竜王戦挑戦者決定三番勝負でも豊島王位と戦い、2つ合わせて「十番勝負」とファン・関係者から注目を集めた。これで8つあるタイトルのうち、木村“新王位”が唯一の40代タイトルホルダーに。現役最強ともいえる名人・王位を倒しての初戴冠は、衰えぬどころか日々の研究でさらに進化する木村九段の力を実証するものにもなった。

◆高齢での初タイトル記録 従来の記録は、有吉道夫九段(84)が記録した、第21期棋聖戦での37歳6カ月。木村九段は46歳3カ月で、9歳近く更新した。また、四段昇段から初獲得までは22年5カ月、タイトル初挑戦から初獲得までは、13年11カ月と、どれも最も日時をかけての初獲得となった。

◆木村一基(きむら・かずき)1973年6月23日、千葉県四街道市出身。師匠は故・佐瀬勇次名誉九段。1997年4月に四段昇段しプロ入り。棋戦優勝は新人王戦、朝日杯将棋オープン戦の2回。将棋大賞では2001年度に勝率一位賞、最多勝利賞、最多対局賞の3部門を独占したことがある。解説やイベントでの軽快なトークも人気で、ファンからは「かじゅき」「おじおじ」の愛称で親しまれている。

(AbemaTV/将棋チャンネルより)

▶中継:王位戦七番勝負 第七局 豊島将之王位 対 木村一基九段(期間限定)

豊島王位 対 木村九段
豊島王位 対 木村九段
第60期 王位戦 七番勝負 第七局 2日目
川上七段-伊藤五段
川上七段-伊藤五段
朝日杯将棋オープン戦一次予選

▶中継:「将棋日本シリーズ」準決勝第一局 広瀬章人竜王対深浦康市九段 9/28(土)15:50~

広瀬竜王 対 深浦九段
広瀬竜王 対 深浦九段
2019年度「将棋日本シリーズ」準決勝第一局