涙のドラフト指名から、2019シーズン開幕前までに、かなりMリーガーとして活動を始めた。「こんなにあるとは思ってませんでした」と笑うのは、渋谷ABEMASに加入した日向藍子(最高位戦)だ。昨シーズンは、パブリックビューイングの会場MCとして盛り上げ役を務めていたが、今年からは違う意味でファンを盛り上げる立場になった。3日後の9月30日に開幕するプロ麻雀リーグ「Mリーグ」の2019シーズン。新米ママ、新Mリーガー、YouTuber。何をするにも、日向からは愛と熱があふれている。
マルチな才能は、昨シーズンモデルのユニフォームを着て訪れたイベント会場でもいかんなく発揮された。小学生向けの麻雀講座では、指導役を担当。時に優しく、時におもしろく。パブリックビューイングの関係者が「MCで日向さんがいなくなるのは痛い」と漏らすほどのトーク力で、あっという間に子どもたちの心をつかんだ。「若い世代がやってくれると、未来につながる気がするんですよね。だから、このMリーグも私たちで切れさせちゃダメだなと。この何年間のブームで『はい、お疲れ様でした』にはしたくないんです」。微笑みながらも、開幕前からMリーガーの責務はひしひしと感じている。
YouTuberとしても、麻雀の普及に務める日々だ。「若い子は映像を見ますからね。選手で、プロで、打って勝つのは当たり前。それ以外でできることを、最近は常に考えています」と、表現法は問わない。「麻雀って、すぐに誰でも同じ熱量でできるんですよ。3歳ぐらいの子でも、ご老人でも、全部同じ熱量でいける。だからもっと流行っていくと思うんですよね」と、思考こそ違えど、同じ気持ちになれることこそが、麻雀における最大の魅力だという自負がある。
今年4月に出産を発表。Mリーガーとして、100%麻雀に没頭できる環境にはない。「まだ子どもが小さいので、朝ゆっくり寝られる日っていうのもないんですけどね。ただ、考え込すぎる性格な分、いい意味で考え込む時間がないから、メンタルはすごく安定しています」と、子育てとの両立は今のところ順調だ。また、自らの出場がない日でも「9割以上は(試合会場に)行く」と、チームとともいる選択もした。「私、チームとかがすごい好きなタイプなんですよ。団体愛が異常にあるんです」と、同じ時間を過ごすことでの結束力を求めている。昨年からのメンバーである多井隆晴(RMU)、白鳥翔(連盟)、松本吉弘(協会)の3選手からの評判も上々。もとからの人気女流プロが、母にもなり、さらに大きな愛で、既にチームを包み込んでいる。昨年惜しくも3位に終わった渋谷ABEMASが飛躍を遂げることがあれば、その大きな要因に日向加入を挙げる声は、きっと多い。
◆日向藍子(ひなた・あいこ)1988年9月24日、長野県生まれ。O型。最高位戦日本プロ麻雀協会所属。主な獲得タイトルは第1回女流モンド新人戦、第16期プロクイーン、RTD Girl’s Fight3他。YouTuberとして麻雀ウオッチYouTubeチャンネル「ひなたんの麻雀するしない」を展開するなど、MCや実況等でも活躍。
◆Mリーグ 2018年に発足。同年10月から7チームによるリーグ戦を行い、初代王者の赤坂ドリブンズが優勝賞金5000万円を獲得した。2019シーズンから新たにKADOKAWAサクラナイツが加入し、全8チームによるリーグ戦に。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合を行う。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。





