自分がアガれなくても、トップを取る方法がある。プロ雀士の中でもトップクラスとなれば、捨て牌で周囲にプレッシャーを与え、卓を支配することができるという。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の人気選手、EX風林火山・滝沢和典(連盟)が捨て牌で見せた、アカデミー賞級の“名演技”が、麻雀ファンたちを驚愕へといざなった。
滝沢の打牌が取り上げられたのは、麻雀ニュース番組「熱闘!Mリーグ」の人気コーナー「じゃいの眼」。芸人最強雀士と呼ばれるインスタントジョンソン・じゃいによる解説企画だが、自らのアガリに向かった打牌選択でなかった分、共演者たちがさらに驚くことになった。
場面はオーラス、南4局。トップ目のKADOKAWAサクラナイツ・岡田紗佳(連盟)をわずか1500点差で追っていた滝沢だが、5巡目にラス目のU-NEXT Pirates・朝倉康心(最高位戦)からリーチが入り、自分の手牌もバラバラ。アガればトップの状況ながら、アガリどころかテンパイすら遠くに霞む状況だった。
試合は進んで11巡目、ここで滝沢が放った一打が、後のトップ獲得につながっていく。現物でもなく、筋の牌も切れていない8索を切り飛ばすと、13巡目には同じく無筋の7索をツモ切り。振り込めば即終了の状況で、無筋の牌を2つ切った様子に、卓上の警戒心が一気に上昇した。
このプレッシャーを誰よりも強く感じていたのが岡田だ。滝沢にアガられた時点で逆転され、自分がノーテン、滝沢テンパイでも逆転。実際にはテンパイにも程遠い滝沢の手牌とは裏腹に、捨て牌にテンパイ気配を感じてしまったことから、最終的には滝沢をケアした7筒で朝倉に振り込み2着に転落、変わって滝沢がトップを取った。
得点の多さを競い合う麻雀において、自分のテンパイ、アガリを目指すのが第一歩になるが、限定された状況下であれば、それにも勝ることを捨て牌で作ることができる。アガリにつながらない無筋の8索切りが、結果的には順位戦にして40ポイント、点数にして4万点分の成果につながった。まさにトッププロならではといった技に、番組出演者一同は、ただただ感心するしかなかった。
(AbemaTV/『熱闘!Mリーグ』より)








