若い世代の台頭が著しいK-1戦線に、また新たなスターが誕生した。
11月24日、新生K-1初進出となる横浜アリーナ大会で行なわれたのはフェザー級王座決定トーナメント。優勝を果たしたのはKRUSH王者で、まだ21歳と若い江川優生だ。
江川が1回戦で闘ったのはホルヘ・バレラ。前回のトーナメントにも出場してインパクトを残した選手だったが、江川は1ラウンドわずか1分49秒、ボディブローを決めてKO勝利。続く準決勝ではアーサー・メイヤーをバックキック一発で沈めた。タイムは1ラウンド2分52秒。
そして迎えた決勝戦、ベテラン・卜部弘嵩を下しているタイのジャオスアヤイ・アユタヤファイトジムとの一戦もローキックからパンチ連打であっという間に勝利を決めた。こちらは1ラウンド58秒。トータルで6分も費やしていない、つまり2ラウンド分も闘っていないというおそるべき速攻勝利だ。
6月のスーパー・バンタム級トーナメントではジムの先輩、武居由樹がオールKOで優勝しているが、決勝は2ラウンドに入っており、江川は武居を超える“最速優勝”を果たしたことになる。しかも外国人との対戦は、今回が初めてだった。
「僕も足立区から来たPOWER OF DREAMの江川優生です」
武居のおなじみのマイクを引用した試合後の江川は、トーナメント出場選手全員に感謝を述べた。中継解説の魔裟斗氏が「鉄球みたい」とパンチの重さを評したように強さは圧倒的だが、一人の若者としての初々しさもまた江川の魅力だ。圧勝だったにもかかわらず「みんな気持ちが強い選手だったので倒すのが大変でした」と相手を立てる姿勢も。
ジム内では、江川が優勝できなければ武居が階級を上げてフェザー級のベルトを狙うというプランもあり「自分としては最初で最後のチャンスでした」と江川。プレッシャーに打ち勝っての優勝でもあったのだ。
今後の抱負、チャンピオンとしての理想像を聞かれると「先輩の武居由樹くんや武尊選手のような、偉大なスターになりたいです」。この日の闘いぶりを見る限り、その可能性は充分にある。