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(竹下の足4の字をハカのポーズで耐える飯野。やることすべてが想定外、規格外)

 11月29日の横浜ラジアントホール大会で開幕したDDTのリーグ戦・D王グランプリは所属のトップ選手に外国人、他団体所属選手、さらに女子レスラー・橋本千紘と多彩なメンバーが出場している。その中でチャンスを迎えているのがDDTの新世代だ。

 今回のリーグ戦には上野勇希、吉村直巳、飯野雄貴と3選手がエントリー。KO-D6人タッグ、10人タッグの王者でもある飯野は11月24日にHARASHIMAのシングル王座に挑戦、大健闘した直後のリーグ戦スタートとなった。開幕戦で闘ったのは6人タッグのベルトをともに巻く竹下幸之介。飯野はKO-D無差別級現王者、前王者と2週連続で闘ったわけだ。そしてHARASHIMA戦に続いて、飯野は敗れたものの観客を魅了した。

 2017年にデビューした飯野は国士舘大学ラグビー部出身。体重120kg、ベンチプレスで200kgを上げるフィジカルを武器に、猪突猛進ファイトで評価を高めてきた。ラグビー経験を買われ、今年TBSのドラマ『ノーサイド・ゲーム』に出演。ドラマの収録による欠場もあったが、そのことがプロレスへの渇望感を高め、爆発につながったようでもある。

 得意技の一つはハカエルボー。ラグビー・ニュージーランド代表オールブラックスが試合前に見せる「ハカ」を倒れた相手の頭上で踊り、そこから走りこんでエルボーを落とすというザ・ロック以来の斬新な技である。

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(竹下も飯野に触発されたか「10代ぶり」という真っ向勝負を見せて勝利)

 いったんハカを踊ってからの攻撃のため、なにしろ時間がかかるこの技。試合序盤で使うため、なおさら自爆することが多い。しかし本人に言わせると、それも必要なことなのだった。

「ハカをすることでスイッチをオンにできる。野獣の力がみなぎるというか」

 竹下戦でも序盤のハカエルボーは自爆に終わったが、2発目でヒット。この日は「ハカで相手を威嚇」、「ハカで足4の字固めに耐える」と、いつも以上にハカの出番が多かった。ハカをすることで痛みにも耐えられるとは、まさに野獣の力だろう。

 真っ向勝負の末、最後は竹下の西成ドライバーに敗れた飯野。しかし竹下をして「アイツの脳みそはネジが外れてる。何をしでかすか分からないのが才能。次やったら(勝敗は)分からない」と言わしめたのだからおそるべきポテンシャルだ。

 12月5日の板橋大会でリーグ戦前半3試合を終え、飯野の戦績は2勝1敗。遠藤哲哉、クリス・ブルックスと優勝候補を次々と下しての白星先行だけに価値がある。

 2勝いずれも、フィニッシュはスピアー。走り込んでのタックルで、これはラグビーをそのまま活かした技と言っていい。後半戦もブレイブ・ブロッサムズばりにアップセットを重ねることができるか。「勢いでいくしかない」と言う飯野がリーグ戦の台風の目になっているのは間違いない。

文・橋本宗洋

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