今期Mリーグに出場している選手は全29人。12月6日終了時点では、KADOKAWAサクラナイツ・沢崎誠(連盟)が、個人スコア首位で+174.9と大活躍している。
リーグ最年長64歳となる沢崎は「私の麻雀は効率重視でテンパイに向かう麻雀ではなく、アガリに向かう道筋が一番早い実戦的なもの。受け入れ枚数を少なくして非効率と思われるかもしれないが、アガリ回数は増えている」と、開幕から7試合連続連対を決めると、11月14日第1試合では役満・四暗刻を成就。11月19日の第2試合では9万2100点を獲得し、Mリーグ最高スコアを更新。異名の“マムシ”から、もはや“大蛇”と化している。
そして特筆すべきは「麻雀は楽しいゲーム。今までいろいろ勉強してきことを表現できれば、結果はどうであれ、楽しいゲームであることは間違いない」と対局中でも柔和な表情を崩すことがないことだ。ここまで他の若手選手たちが思うような結果を出せず、苦悶の表情や悔し涙を見せる中、沢崎はたとえ放銃しても「なんでこれが当たるんだろう。負けた理由はどういうものなんだろう」と新たな発見と捉え、研究材料が出来たと喜びすら感じている。
その達観した対局姿勢からか、最近では“マムたん”とも呼称されたり「沢崎さん」というキーワードがTwitter上でトレンド入りするなど、試合を積み重ねるごとに注目度が上昇している。
所属団体では、KONAMI麻雀格闘倶楽部・藤崎智(連盟)や女流プロ史上初のG1タイトル「王位」を獲得した清水香織(連盟)を育てた名伯楽としても知られている。そんな沢崎のチームメイトには、リーグ最年少25歳、プロ入り2年目の岡田紗佳(連盟)がいる。大舞台に悩む若手に、「終わったことを考えてもしょうがない。プロの姿勢というのは、それから先のことを考えないとね」と、常にベストパフォーマンスを出せるよう言葉をかけ、その成長を促している。
チームはEX風林火山と激しい首位攻防戦を繰り返す。ドラフト1位の内川幸太郎(連盟)も徐々にその実力を発揮していることもあり「この間(勝利者インタビューで)年内目標300ぐらいっていったんですけど、個人の目標と勘違いされて。チームで300ぐらいいけたらいいなと思っていたんですけどね」とチームの目標を「プラス300」と言ったつもりが、個人目標と捉えられたと笑う。
しかし11月25日にMリーグ最高スコアを更新した時点では、個人もチームもプラス300ポイントを同時超え。その日の勝利者インタビューではチーム目標を「プラス500」と公言したが、沢崎が言えば夢物語には聞こえない。「難しくても、そこに挑戦しなくてはいけない」と最年長Mリーガーの夢に終わりはない。【福山純生(雀聖アワー)】
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。







