22日、令和初の漫才日本一を決める『M-1グランプリ 2019』の決勝がテレビ朝日で行われ、結成12年で初の決勝進出となったミルクポーイが優勝した。
史上最多の5040組の中から決勝に進出したのは、予選を勝ち抜いた9組と敗者復活戦から勝ち上がった和牛の10組。7組が初出場というフレッシュな顔ぶれの決勝を勝ち抜き、最終決戦にはミルクボーイとかまいたち、ぺこぱの3組が進出した。「最中」のネタを披露したミルクボーイには審査員7人中6人の票が集まった(1票はかまいたち)。
M-1審査委員長の松本人志が「過去最高と言ってもいいかもしれませんね。数年前なら誰が出ても優勝してたんじゃないかなというレベルの高さでした」と評した今大会。AbemaTV『けやきヒルズ』では、惜しくも3位となったものの、相手を否定しないツッコミが話題になっているぺこぱに注目。さらに、松陰寺太勇がM-1後初のメディア出演に応じてくれた。
ぺこぱは、ボケ担当のシュウペイとキザ担当の松陰寺太勇によるお笑いコンビ。シュウペイのボケに松陰寺の「できないことを求めるのはやめにしよう」「間違いは故郷だ 誰にでもある」といったツッコミが受け、松本人志も「ノリツッコまないボケというのか、新しいところを突いてきた」とコメントしている。
相手を否定しない“優しいツッコミ”について、電話取材に応じた松陰寺は「面白い漫才を作ることだけを考えていて、成り行きでなった漫才だけど、みんなを優しさで包むことができて本当に良かったと思っている。始めたきっかけは、相方に『おかしいだろ』ってツッコむとすごく寂しそうな顔をしていたから」と明かす。
臨床心理士で心理カウンセラーも務める明星大学准教授の藤井靖氏によれば、「ぺこぱの漫才は、基本的には他人を否定する従来型の『他罰』的ツッコミではなく、自分に原因があるとする『自罰』や、誰のせいにもしない『無罰』を突き詰めることで成り立っており、それが笑いに昇華されている。これまで番組などでいじめの話題に言及するとき、『いじめは、いじりからエスカレートしていることも多いので、他罰的ないじりは考えもの』としてきたが、一方で『そんなことを言ったらお笑いでは何もできなくなる』という反論もあった。ぺこぱの漫才は、いじりがなくとも笑いを起こせるという一つの新しい形ではないか」とした。また、「心理学で“アサーション”というが、自分も他人も傷つけずに自らの主張を伝えるというスキルも、人が生きる力として注目されている。これは近年小学校や中学校で盛んに教えられているので、ツッコミがさらに進化してアサーティブな自己表現にまで達すれば、子どもたちにいい影響を与えたり、講演に呼ばれたりするのではないか」と、今後の活躍への期待を寄せる。
一方で、松陰寺のキャラに言及し、心理学ではナルシスト傾向がある人は自己注目が高まるあまり、落ち込んだりうつが強くなりやすかったり、不安が強まりやすいとされていることが当てはまるのかを質問。この点について松陰寺は「僕はメイクをした時に自分の中のスイッチが入るんだけど、昨日本番が終わってメイクを落とした時、自分の顔が直視できないくらい疲れていた。メンタルはいつもギリギリです」と答えていた。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
▶映像:ぺこぱ・松陰寺太勇、本名指摘されても優しいツッコミ
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