3日にシドニーで行われたテニス国別対抗戦「ATPカップ」ベルギー対モルドバの試合。シングルス2試合目のダビド・ゴファンとラドゥ・アルボットのゲームで、ダビド・ゴファンのサーブにまつわる「ある場面」を巡って、新たなビデオ判定システムが初めて導入された。
テニスではもうおなじみの存在になったチャレンジシステム。これまではバウンドしたボールがラインの内側に入ったか、外側に入ったかを検証する時にのみチャレンジすることができた。その一方で、ラケットや体がネットに当たるタッチネット、ツーバウンドしてから打ってしまうノットアップなどのその他の事象については、すべて主審の判断に委ねられていた。その結果、誤審が試合に影響を与える回数は確実に減ったものの、疑惑の判定と呼ばれるシーンは未だにテニスでは残ったままだった。
ATPカップでは、ポイントの結果を変えてしまうような事象については、なんでもスロー映像で検証することができるルールとなっている。会場や中継映像でも映像が流れて、結果によっては判定が覆ることがある。
映像のシーンでは、ゴファンがサーブを打つ際に白いラインを踏んでしまい、フットフォルトの判定に対してチャレンジ。ラインを踏んでいればサービス失敗となる。ラインを踏んでいなければ判定が覆るため、ポイントのやり直しとなる。
実際の映像が流れると、史上初めての出来事に会場全体がざわついた。戸惑いも残る中スロー映像が何度も流れたが、微妙にラインを踏んでいるように見えた結果判定は覆らずフォルトで試合が再開された。
AbemaTVで実況を務めた西野恭之介氏が「はっきり踏んでると(わかりやすくて)いいですね」とコメントしたものの、実際のスロー映像を見て「このビデオ、わからへんやん!」とさじを投げてしまうほど微妙な映像だった。
ただ、疑惑のシーンについては何でも検証できるようになったことで、後腐れなく試合を進めることができるようになったのは、選手としても嬉しいだろう。試合はチャレンジをして納得したゴファンが冷静に試合を進めて快勝となり、ベルギーチームも3勝0敗でモルドバチームを下した。
文/今田望未(テニスライター)