初場所初日の十両土俵入りで“大関級”の大きな拍手と声援を浴びていた力士がいた。それもある意味、当然なのかもしれない。かつての大関だからだ。照ノ富士が約1年半ぶりに関取復帰を果たし、その雄姿を観客の前に披露した。
膝のケガや糖尿病などにより3年前、14場所務めた大関の地位を明け渡すと体調がなかなか戻らず番付は急降下。十両に陥落してもなお踏みとどまることができず、関取の座すら手放すことになってしまい、昨年春場所は序二段まで落ちてしまった。
奈落の底に突き落とされると絶望感に苛まれて一時は引退も考えたが、それでも変わらず応援してくれる人の存在が支えとなって、もう一度上を目指そうと心に誓ったのだった。元大関が序二段の土俵に上がるのは前代未聞だったが、その後は着実に復活ロードを歩んでいき、体つきも相撲ぶりも徐々に本来の姿を取り戻しつつある。
初日の千代鳳戦は立ち合いで相手のかいなをがっちり抱えると、そのまま極め出す快勝で白星発進。館内は万雷の拍手に包まれた。
敗れた千代鳳も元小結の三役経験者ながら三段目まで陥落し、腐ることなく2年を要して関取の地位を取り戻し、この日を迎えたのだった。黒星スタートとなったが「早く(実兄の)千代丸に追いつきたい。同世代の頑張りも励みになる」と同じ平成4年(1992年)生まれの御嶽海や北勝富士らの活躍にも大きな刺激を受けている。
そしてこの日、若手ホープの豊昇龍を全く寄せつけなかった魁も実に5年ぶり、史上4位となる29場所のブランクを経ての再十両だ。長らく幕下に低迷し、33歳で再び化粧まわしを締めることになったが、もろ差しとなって巨漢を利して前に前に攻める力強い相撲は健在。過去通算5場所務めた十両ではいずれも負け越しに終わっているが、今場所は大いに期待が持てそうだ。
若手の台頭も楽しみだが、その一方で彼らのような苦労人の復活劇も土俵に何とも言えない味わいをもたらしている。
▶映像:元大関・照ノ富士、十両復帰の一番(5時間32分ごろ~)
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