「女・子どもの話を国会に持ち込むなと言われた」宮崎謙介元議員と考える小泉進次郎大臣の育児休暇
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 「私の育休をきっかけに、環境省の中でもみんなが臆することなく、育休を取得しやすい働き方が進むことを期待している」。小泉進次郎環境大臣が15日、以前から検討していた育休取得を宣言した。

 発表後、すぐに自身のブログも更新。「妊娠・出産によってホルモンバランスが崩れ、産後の孤独な育児によって“産後うつ”になる方が約10%もいる、ショッキングな事実を知りました。私自身、妻の様子を隣で見ていて、率直に育休を取りたいと思うようになりました」と心境を吐露している。

 現職の大臣としては初めての育休。小泉大臣は「公務を最優先・危機管理も万全」とした上で、「環境省内の打ち合わせ等はメールやテレビ会議を活用」「副大臣や政務官に代われるものは代わってもらう」としている。

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 2015年に男性国会議員として初めて育休取得を宣言した宮崎謙介・元衆議院議員は「世の中には思った以上に抵抗勢力がいるのだと感じられて一旦トーンダウンしたのだと思うが、それでも今回、取得宣言をされたので、“よくやった”と思う。取るべきだと思う。というか、取って当然だと思う」と話す。

 「本会議や委員会の採決に出席するのはマストだが、それ以外の時間については個々人に任せられているので、やりたい人はとことん仕事をするが、サボろうと思ったら結構サボれるのが実情。実際にサボっている議員はいっぱいいた。大臣に関していえば、大きな決断などの仕事を除いて、式典やセレモニー、委員会での答弁については基本的に代理にやってもらうことも可能だし、省庁内でのレクや会議についても、自宅からテレビ会議で参加することも可能だ。組織内で誰がどうバックアップするのかということが考えられているので、仮に小泉さんが防衛大臣だったとしても育休を取りながらの危機管理は可能だと思う。私の場合、1カ月間、丸々育児休暇を取ろうと考えていた。ただ、全く仕事をしないというわけではなく、朝一で秘書から情報を貰い、それに対する指示をして、夕方に再び確認して、というサイクルだ」。

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 他方、自民党幹部からは「国会議員は苦しいことを率先してやらないと。国民の皆さんは育休なんか取れる生活をしているか?取りたければ取れ」、有権者の中にも「育児休暇くれという前に働いて下さいよと」(70代・男性)といった、極めて否定的な声もある。また、支給される歳費の扱いを問題視する向きもある。

 「衆議院規則で産休は認められているが、育休という概念がないので、女性議員でも育休は取れない。私の妻も、産後2カ月も経たないうちに復帰した。歳費も返納することができないので、私は寄付先を検討するなどしていた。それでも耳にして愕然としたのが、“女・子どもの話を国会に持ち込むな”と、ある重鎮に言われたことだ。それを聞いた瞬間に、権力を持っている人たちがそういう感覚でいるようでは、日本の子育て支援は進まないなと実感した。そして、育休というのは結局のところ働き方改革だが、そういう感覚のない国会議員がすごく多いんと思う。それは有権者も同じだ。だからこそ選挙にあまり強くない若い議員は残念ながら誰ひとり育休宣言していなこなかった。完全にびびって、忖度している。小泉さんも味方になってくれるのは若い世代だけなので悩んだと思う。でも彼は育休を取ったとしても必ず選挙で勝てる」。

 その上で宮崎氏は「育休取得後の小泉さんに望むことは、得られた経験を政策に反映させること。例えばフリーランスの方は育休を取れない。そういうところまで網羅的にやって初めて拍手を送りたい。パフォーマンスは大事だし、実際、現段階ではパフォーマンスだ。しかし、その後は結果を出そうよという話だ」と話した。

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 ニュージーランドではアーダーン首相が2018年、出産後6週間の産休・育休を取得。その間の業務は副首相が代行した。小泉大臣が育休を取得するのは、「母親の負担が大きい出産から3ヶ月の間で、国会や閣議など重要な公務の時間を除いた時間の中で、業務に支障のないように柔軟に通算2週間」という期間だ。

 いわゆる“ワンオペ育児”の問題点を指摘している明治大学の藤田結子教授は「第1子の場合、理想的には1カ月。やはり産後1カ月間じゃ身体の調子も良くないし。2~3時間おきの授乳や夜泣きもあるので、なかなか眠れない。理想としては、気持ちだけではなく、身体的に厳しい時期には一緒にいてほしいと思う。今はミルクで育てている方も多いし、それだったらパパでもできる。オムツを変えることだってできる」と話す。

 「しかし現状ではお母さんが面倒を見ているケースが多く、里帰りから帰ってみると、それまでと同じ調子で飲んで帰って来たり、“俺の夕飯まだ?”みたいなことを言ったりするので、ボロボロになってしまう。大学で20歳前後の男性とよく話すが、みんな子育てに関わりたいと思っている。しかし卒業して社会人になって数年経つと、会社の文化に染まってしまう」。

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 宮崎氏は「やはり私はこの産後の1カ月に子どもと触れ合うことにはすごく意味があると思う。確かに父親は授乳できるわけではないので、そこに無力感を感じてしまう男性もいるが、それはダメだ。ずっと関わっていれば親父が抱いても泣き止んでくれる。そして家事はできる。下手でも料理を作ればいい。また、女性が復帰するまで、断続的に月80時間勤務を継続すればいい。これは今の育休制度の中で認められている制度なので、逆に言えば80時間まで働いて良く、そうすれば給付がありますよという話だ。そしてお母さんが辛い朝と夜にサポートをしてあげる」と提案した。

 テレビ朝日平石直之アナウンサーは「もちろん男性でも育児休暇を取れるし、取っている人もいる。私のような仕事の場合に、やはり1カ月間、ベタッと休みを取るのはハードルが高い。必要な時に家庭にいられるように、仕事を続けられる形こそ、男性の育休の形なのかなと。時短やバラして長い期間取るというようなものも含めて、議論していかないといけないのではないか」とコメント。

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 ジャーナリストの堀氏は「僕も自分のことを振り返って反省しきりだ。忙しさを盾に、“いや俺だって”みたいなのをついつい言ったりしていた。会社員の本音を言えば、休んでしまえば席がなくなるだろうし、給料が減ってしまう。“残業代がなくなったらどうやってローン払おうか”という計算をし始めてしまう。そのためには働かないといけないというプレッシャーがあった。あれから十数年経ってようやく、宮崎さんや小泉さんのような人が出てきて、そういうマネジメントもしなきゃいけない、“別にいいよ、大丈夫だよ、安心して休めよ”と言える空気も広がってきた。しかし国の“標準家庭”は今もサラリーマンの夫に専業主婦の奥様と2人の子ども、というのが標準モデルになっている。この時点で制度設計がおかしいと思うし、ジェンダー教育みたいなものも必要だ」と指摘。

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 宮澤エマは「父親の役割の中に、家事の手伝いご飯を作るといったことが当然入ってきたっていい。ジェンダー教育は上の世代にも必要なのではないか」、ニッポン複雑紀行編集長の望月優大氏は「やはり男の人が働いて女の人が子育てをするのを前提でどこまで崩せるかみたいな話になっていることに違和感がある。女性が子育てのために仕事を犠牲し、男性はそれを前提にして稼ぐ、という分業になっている事自体。子どもが生まれない社会を作ってしまっている」とコメント。藤田氏は「何を決めるにも何を話すにも、やはり女性が育児をして、男性は仕事を中心にやって、できるときに手伝うという感覚があって。でももうそういう時代ではないのではないか」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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