日本青年会議所ってどんな団体?パートナーシップを結んで非難を浴びたTwitter Japanの狙いと責任は?
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 「情報・メディアリテラシーの確立」を目的に日本青年会議所(JC)とのパートナーシップ協定の締結を発表したTwitter Japanがネット上で非難を浴びている。

■「日本青年会議所」とはどんな組織なのか

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 JCは1951年、「新しい日本の再建は我々青年の仕事である」という理念のもと、若手経営者などからなる全国の青年会議所を組織した団体で、「修練」「奉仕」「友情」の3つの信条のもと、より良い社会づくりを目指し、ボランティアや行政改革等の社会的課題、教育やスポーツ振興などに積極的に取り組んでいる。会員数は合計で約3万人(20歳以上40歳未満)に上っており、故・中曽根康弘氏、森喜朗氏、小渕恵三氏、小泉純一郎氏、麻生太郎氏、鳩山由紀夫氏、菅直人氏など、総理経験者を始め、数多くの著名人を輩出している。

 また、憲法改正を目指し、独自の改憲案を掲げていることも特徴で、2年前にはその論点などを面白くつぶやき拡散させるTwitterアカウント「宇予くん」が特定の国会議員や中国・韓国を誹謗中傷し炎上。JCはアカウントを削除、公式サイトで謝罪してもいる。

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 ところが今回、Twitter Japanが「毎週、リテラシーの理解やモラルを高めるのに役立つ情報をツイートしていきますので、皆さん是非フォロー&積極的に会話に参加してください。」として紹介したJCのアカウント「メディアリテラシー確立委員会」(@medialiteracy20)が個人を攻撃するような投稿をリツイート。「健全とは言えないと思いますけど!」「全然政治的に中立じゃない」「不安しかない」などの声が上がり、関連のリツイートを取り消すなどしたのだ。

 今回の提携について「メディアリテラシー教育の必要性を主張されているTwitter Japanに提携を提案、適切な情報発信を行う能力の向上や教育の確立を協力して実現する」としていたJC。取材に対し「宇予くんの騒動については真摯に反省しているところであり、今後も信頼回復に努める。当会は中立公正の立場を主とし、特定の個人または法人、特定の政党のために活動するということもない」とした上で、「メディアの大量の情報を読み解き、その真偽を見抜く能力の向上を目指す」とコメントしている。ただ、令和メディア研究所の下村健一氏は「“朝日新聞に振り回されない眼力を持つ事がメディアリテラシーだ”といった考え方を持った人もいた。考え方を改めて真摯に取り組んでいる人もいるが、意味を勘違いして暴走する人もいる」と指摘する。

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 ジャーナリストの堀潤氏は「各地のJCでは選挙時には全候補者に呼びかけ公開討論会を実施していて、僕はそこにファシリテーターとして行ったことがあるし、特定の政党のためではない活動をやっていることも確かだ。また、沖縄のJCに呼ばれた際にはメディアリテラシーについて講演したこともあるが、“党派やイデオロギーなど色々な情報があって、それに左右されやすい中、正しい選択をするためにも、情報の読み解きについて話してほしい”と言われた。この時代に、そういう真摯に取り組みをしている方がいることも間違いない」、同じくJCの仕事をした経験のあるパックンも「みんな好青年で、外国人の僕を優しく受け入れてくれたので、どのくらいの人が“宇与くん”に賛成しているか疑問に思っていた」と話す。

 拓殖大学非常勤講師の塚越健司氏(社会学)は「ボランティア活動を会費などから持ち出しで行うなど、意義のある活動をしていることは事実だし、3万人の会員に多様な人たちがいることも間違いない。確実にどこの党とは言わないが、公式サイトを見るとやはり愛国的なものが空気としてあるのは事実だし、ネット上には日本青年会議所と聞くと、そういう政治的な匂いがあると感じている人が多い」と話す。

■Twitter Japan、そしてプラットフォーマーの役割は?

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 一方、批判が集中しているTwitter Japanは、JCについて「リテラシーに関する啓発活動を進める上で非常に重要なオーディエンス」とし、今回の問題については「日本青年会議所よりソーシャルメディアのリテラシー確立の取り組みを実施するにあたり、Twitter Japanとの連携について相談があった」と説明、「メディアリテラシー確立委員会」のリツイートに関しては「情報リテラシーに関するものだけが投稿される予定と聞いていたので、特定の企業や団体のリツイート等は想定しておらず、当初ご提示いただいた通りの運用をしていただくよう、既にお願いをした」とコメントしている。

 これについて堀氏は「Twitterには公共政策部門があって、既存のメディアにはない議論の場を作りたいという思いが強く、政治領域の取り組みについては本腰を入れてやってきた。僕も選挙前にはTwitter特番を一緒に作ったし、今回も担当者が二人三脚でやろうとしていたと思う」とコメント。

 塚越氏は「Twitter社としては、協議しながらやっていくというような話が、知らないうちに勝手にやられて困っているという感じだろう。しかしTwitterのルール上ダメなものを呟いてはいけない。提携発表の文章を見ても詰めが甘いと感じるし、そもそもメディアリテラシーとは何なのか、モラル向上とは何名なのか、といったことについて中の人たちの間で議論が一致していなかったのではないか」と指摘、「例えば朝日新聞と産経新聞で見方が異なった場合、“どちらが正しいというより、それぞれこういう見方があるよ、その中であなたはどういうふうに見るのか”ということを教えるような場になって欲しいと思っている。それがJCとしては、どういうニュース、投稿を選定するのか、つまり自分たちのアカウントをフォローしてくれれば正しい情報を教える、というような意味でメディアリテラシーを捉えていたのかもしれない。一方Twitter Japanに関しては、Facebookがアメリカ大統領選についてあまり規制はしないという方向性を打ち出す中、Twitterは政治色が強い広告の禁止に積極的だ。そこでどこまで政治の話が許され得るのか、何をリテラシーと考えているのか、線引きの難しいところについてどう考えているのか知りたい」と話した。

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 こうした“プラットフォーマー”の役割について、パックンが「右翼の発言は規制して欲しいと思う人がいるかもしれないが、逆にリベラルの発言が規制対象になったとしたらどう思うだろうか。あるいは電話をしてる時に電話会社が割り込んできて、“あなたの発言は政治的に許されない”と通話を切ったら困るだろう。同じようにTwitterを取り上げるのは言論の侵害になるのではないか」と問題提起。

 「SmartNews」を提供するスマートニュース社の松浦シゲキ氏は「Twitter Japanとしては、ユーザーが4000万人に達しているが、もっと使って欲しい。そこで新規の人を増やすために、全国津々浦々にあるJCの組織力、リーチを使って働きかけていきたいということだろう。加えて、ユーザーのリテラシーが上がって欲しい。喧嘩になればプラットフォームの価値がなくなり、プラットフォームの価値がなくなればビジネスとしての意味がなくなる。その中で、“これだ”と決めるのは非常に簡単。しかし立場や思想が違っても、健全に話せる空間を担保されることが大事で、歯を食いしばって多様性は確保しなければいけない。やはり喧嘩して欲しくない。炎上して欲しくないので、リテラシーもJCに任せたかったのだと思う」と推測した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:Twitter×日本青年会議所が炎上!

Twitter×日本青年会議所が炎上!
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