新型コロナウイルス感染拡大も“休めない日本”、背景に「出席文化」「立ち会わなければいけない文化」
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 日本経済にも影響を及ぼしている新型コロナウイルス日本商工会議所の調査によれば、「影響がすでに出ている」「長期化で影響が出る」と答えた中小企業が6割を超えているという。20日には三村明夫会頭が自民党の二階俊博幹事長と会談、観光業、製造業など中小企業への支援の必要性を訴えた。会談後、二階氏は「先手先手で対応していく。少しやり過ぎたかなというくらいしっかり対応して、国民の皆さん、経済界の不安をしっかり払拭していく」と述べている。

 懸念されるのはそれだけではない。安倍総理は18日、「まず初めに国民の皆様に心がけていただきたいことは、発熱等の風邪症状が見られる時は学校や会社を休み外出を控えていただくことだ」と述べており、NECやNTTなどの情報通信業を中心にテレワークが導入され始めている。

 しかし働く人たちの間では「休めるものなら休むが、休めるのか」「リモート化が難しい仕事だから無理かも」といった不満の声も多く、感染の不安があっても、なかなか休むという決断ができない“空気”もあるのが日本社会だ。加えて、企業に属さず自ら仕事を請け負うフリーランスの人々にとって、こうした状況は死活問題だ。

 転職支援サービスの「ワークポート」の調べによれば、会社を休む判断をするのは、「38度の高熱が出た時」という回答が最も多く、「体調が悪くても無理して出社した」という人は83.1%に上っている。

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 社会保険労務士の大槻智之氏は「まず、正規雇用で働いている方の場合、どんな理由でも取れる年次有給休暇を使って休むということだが、まだそれすら取りづらい世の中だという証拠だ。欧米では自分の仕事が決まっているが、日本ではチームで働くことや、メンバー間のやりとりを非常に大事にしており、一人でいくつも仕事を抱えていたり、3人で5個くらいの仕事をやったりする、“メンバーシップ型”だ。そうなると、きっちり休むということがしづらい。また、気質としても、“他人に迷惑をかけてはいけない”みたいに思ってしまう部分がある。もちろん工場などでのリモート化はまず無理だが、例えばファミレスで24時間を止めたところがある。やろうと思えばできると思う」と話す。

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 慶應義塾大学の若新雄純・特任准教授は「僕は評価制度に問題があると思う。日本の大企業や役所の評価制度は基本的に勤怠、まさに“出席”だ。政治家だって国会でいい仕事をすればいいはずなのに、地元のイベントなどに顔を出したどうかが問われる。なぜ勤怠が評価に使われるかというと、最も楽で、誰にでも分かりやすく点数化しやすいからだ。最近では大学でも何を学んだかより、出席したかどうかという流れに逆行し始めている」と指摘する。

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「それは結局、仕事した気になっているだけだ。今回のことで一斉にリモートワークに切り替えたGMOの熊谷社長は“これでどれくらい業績が落ちるかと思ったけど、全く落ちなかったので、果たして出社する意味って何なんだろうか改めて考えている”とツイートした。もちろんテレビ局など、現場に来なければできない仕事もあるが、大概の仕事はリモートワークで可能だし、無駄な会議は減らせばいい。1人だけ休むのが浮いてしまうなら、一斉にリモートワークに切り替えればいい」と話す。

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 「僕はフリーランスとして1人で仕事をしているが、大企業の人を見ていると、“立ち会わなければいけない”という感覚が強い人が多い。広告代理店などが典型で、打ち合わせに行くと、こちらは1人なのに、向こうは10人くらい出てきて、まずは名刺交換、“じゃあ、次回打ち合わせ”というようなことがやたらにある。また、結局は正社員だけが守られ、非正規が切り詰められている状況だ。かと言って、中高年のリストラの嵐が吹き荒れている時に正社員システムをやめろというのも酷な話だ。どうやってそこを軟着陸させ、非正規も正社員と同じような待遇で働けて、なおかつ休みも取れる社会にするかだが、道のりが遠すぎて途方に暮れる。そもそも政府は祝日を増やして休みにしているが、それでは皆の休みが集中し、混雑を生むだけだ。いつでも休めて、いつでも入れ替わっても大丈夫というようになればいい」(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:リモートワークは難しい?佐々木氏らが議論

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