今日で東日本大震災から9年。仙台市の沿岸部では、早朝から祈りを捧げに来る人々の姿があった。
「海を見て、平和とか今を生きられなかった人たちのためにと思って走っていました」
「日々の幸せを当たり前に思わないように生きていきたいなと。亡くなった方たちのことも思いながら、震災当時のことを忘れがちなこともあるけど、改めて思い出していきたいと思いました」
新型コロナウイルスの影響で政府主催の追悼式の中止なども決まる中、岩手県と釜石市の合同追悼式は電報の読み上げを取りやめるなど規模を縮小した。
警察庁によると、2月10日までに未だ2529人が行方不明で、死者数は1万5899人。岩手・宮城・福島の3県では、警察官約3600人が遺体の捜索などを継続している。また復興庁によると、今も約4万8000人が避難生活を続けている。そして、福島第一原発では廃炉作業が続いている。
マクロミルと河北新報社が共同で行った「東日本大震災に関する調査」によると、岩手・宮城・福島の被災3県沿岸部の被災者で、復興状況について多かった答えが「70%」(27.8%)、「50%」(19.1%)、「60%」(15.2%)。復興が遅れている分野は「風評被害対策」(34.0%)、「防潮堤・高台移転」(28.8%)、「道路・鉄道など交通」(28.5)などだという。
この点について、『ニューズウィーク日本版』編集長の長岡義博氏は「原発の汚染水をどうするかが問題になっているが、仮に海洋放出してしまうと、漁業関係者の風評被害はさらに出てくる。現に倒産している漁業関係の会社もある」と話す。
また、震災を意識する頻度について、「ほとんど意識しない」と答えたのは、被災3県の沿岸部の被災者が17.8%、沿岸部の非被災者が33.7%、首都圏が41.0%と、そのギャップが浮き彫りになった。
長岡氏は「なぜここまで東北で被害が長引いているかという背景には、首都圏一極集中で東北が多くの人的・経済的リソースを東京に集中してしまったことがある。過疎で悩んでいる東北を過去にない大災害が襲ったことで、ダメージが9年経っても解消されない状況が続いている。これが東北だけの話かというとそうではなく、過疎で悩んでいる地域は日本各地にある。しかも地震はどこでも起きる。となると、そこを地震が直撃すると同じような現象が起きてしまう」との見方を示した。
新型コロナウイルスの影響でいま日本には自粛の動きが広がり、経済も委縮し始めているが、9年前の経験を生かす手立てはあるのだろうか。長岡氏は「風評被害が一番深刻。(新型コロナウイルスを)恐れる必要はあるが、恐れすぎず適度に対応すべき部分もある。特に経済が崩れてしまうと、我々の普段の生活が維持できなくなる」とした。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)
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