将棋界初のドラフト会議に、将棋親善大使も興味津々だ。過去にNHK「将棋フォーカス」の総合司会を務め、現在でも定期的に将棋ラジオの番組も持つ元乃木坂46・伊藤かりんが、4月から放送開始となる「第3回AbemaTVトーナメント」のドラフトを大予想した。トップ棋士11人とAbemaTV・藤田晋社長の計12人で行われるドラフト会議では、1チーム3人の12チームが誕生する。日頃から熱い振り飛車愛を語る伊藤は、この新企画でも理想のチームとして「ゴリゴリで」と、チーム振り飛車の誕生を夢見ていた。
▶本編:伊藤かりんも注目の「第3回AbemaTVトーナメント」ドラフト会議
NHKの将棋番組をきっかけに、数多くの棋士と交流がある伊藤。前代未聞の新企画については、いろいろな思いを巡らせていた。11人のトップ棋士(豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、久保利明九段、三浦弘行九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段)と、藤田社長(チームリーダーは羽生善治九段)が参加して行われるドラフト会議。そもそも「棋士が棋士を選ぶ」ということ自体がめったにないことだ。
大会の仕組みを聞いた伊藤は「羽生世代より上の方々とかは選びやすいと思うんですが、豊島先生とか永瀬先生は、どういう気持ちで選ぶんですかね。『この人選ぶんだぁ』みたいなものが、男性にどこまであるのかわからないですが、女性は気にしたりしますからね」と、棋力や実績の前に、まず人間関係について考えた。「糸谷先生には、山崎(隆之)先生を選んでほしいですね。同じ門下というのもありますし、私の中で“ニコイチ”なんです。2人の仲がいいという話もよく聞くので、そこは相思相愛であってほしいです」と、早指し巧者としても知られる2人が同じチームになることを臨んだ。
AbemaTVトーナメントは、持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算という、他の棋戦にはない独特のルールで対局が行われる。指名する上で、早指し適正はもちろん大きな検討材料として入る。人気No.1として名が挙がるのは、第1回・第2回と連覇している藤井聡太七段。「1位指名で何票入るかですか?8人!」と、12人中8人という、ドラフトの“本家”プロ野球における1位最多競合・8球団と、偶然にも同じ数を予想した。「藤井さんは強さでも話題でも、やっぱり欲しいですよね。ただ、自分より目立っちゃう人がチームにいるのも、どうなんでしょう。わからない(笑)」とも答えた。また他に重複指名がありそうな棋士には、千田翔太七段や佐々木大地五段といった20代の実力者の名を挙げた。
理想のチームを聞いたところ、迷うことなく口にしたのが「振り飛車」だった。「チーム振り飛車ができたら、私は完全にそこ推しです!(笑)やっぱり振り飛車の方は、プロでは少ないじゃないですか。でも、ここぞという時には羽生先生も渡辺先生も使っている。久保先生のところに、菅井(竜也)先生と、戸辺(誠)先生が入ってほしい。藤井猛先生も入ってほしいですけどね。もう振り飛車ゴリゴリです」と、まるでブレない。特に戸辺七段は、伊藤にとって将棋の師匠。もしこの顔ぶれで結成されれば、全力推しのチームになるのは必至だ。
この他、他チームの予想もしてみるが、なかなか様子が見えなかったのが“貴族”の異名を持つ佐藤天九段と、三浦九段。「天彦先生は、ラジオでプライベートのお話も伺ったんですけど、棋士同士の交流はなかなか見えてこなかったんですよね。一人でも人生楽しめる、みたいな雰囲気だけが伝わっちゃって。フットサルをされているので、そのあたりのメンバーを選ばれるかもしれないですね」と検討。また「三浦先生は、本当にわからない(苦笑)お会いしたこともないのですが、私の勝手なイメージで渋い方なのかなと…。佐々木勇気先生とか選んでいただいて、しゃべっているところをみたいですね」と想像を膨らませた。ここまで話して、自身の想像が飛躍的に膨らんだのか、いきなりテンションアップ。「めっちゃおもしろいですね!めっちゃおもしろいけど、全然わかんない!」と、思わず笑いがこみ上げた。
将棋の魅力を広く伝える親善大使・伊藤かりんにして、考えるだけで期待感が溢れるプロ将棋界初のドラフト、そして団体戦。超早指しでも大注目となった大会が、前代未聞のドラフト会議で、再び大きく盛り上がる。
◆第3回AbemaTVトーナメント
第1回、第2回は個人戦として開催。羽生善治九段の着想から生まれた持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算されるフィッシャールールは、チェスなどで用いられるもの。1回の対戦は三番勝負。過去2度の大会は、いずれも藤井聡太七段が優勝した。第3回からはドラフトを経て構成される3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。