3月22日にさいたまスーパーアリーナで行われたK-1のスーパー・ウェルター級王座決定トーナメントで、木村“フィリップ”ミノルがオール1ラウンドKOでの優勝を果たした。 昨年11月のフェザー級トーナメントでは江川優生が同じくオール1ラウンドKOで優勝しているが、木村のほうが試合時間は短い。つまり“最短秒殺優勝”だ。
この連続KOについて、木村は「めちゃくちゃ研究して、作戦通り」だったと語っている。攻撃力の高さで知られる木村だが、それをディフェンスされ、消耗してズルズルと長期戦になってしまうのを警戒していたようだ。
「自分の強みも弱みも理解してるんで」と木村。「今日もそれが出そうになったけど、出さなかった」ところが成長でもあった。
かつては圧勝することもあれば、守勢に回ってもろさを見せることもあった。そういう自分を誰よりも理解し、分析して強くなったというわけだ。ここ数年の木村は安定感が増している。昨年はK-1全大会に出場、未知の相手に勝ってきたことも経験値につながった。
「弱い自分を含めた上での今日なんで。危なっかしい自分は、まだいるんです。これからも弱みが出ちゃう相手とやることもあると思う。そこは修行ですね」
弱さを認めることができるというのもまた強さだ。
本来はウェルター級、今回1階級上げてトーナメントに出場したのは「ファンへのサービス」だとコメントしている木村。チャンピオンとしてこれからどうしていきたいかを聞くと「夢かなえたから、もう終わりでいいかな」と笑った。しかしその直後に「でも夢は続くんで」とも。
今はトーナメント3試合を勝ち切った達成感が大きい。しかし防衛戦になれば、またベルトへの愛着も高まっていきそうだと言う。「こんなに可愛いベルト獲っちゃったんで守っていかないと」。
K-1参戦にあたり、ブラジル出身の日系人である木村は、日本在住だが“ブラジル代表”の肩書でリングに上がってきた。そこにどんな意味を見出しているのかを聞くと「特にはないんですよ」と言う。
「日本の人もブラジルの人も喜んでくれればそれでいい。僕は“木村ミノル”を代表して闘う。そこに国境はないんで」
強さと弱さ、日本とブラジル。そのすべてが「木村“フィリップ”ミノルというファイター」を構成しているのだ。