「咲-Saki-」は時代を先取りした作品だった Mリーガー滝沢和典が想像する大観衆の中で打つ麻雀
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 連載開始から来年で15周年を迎え、アニメからも10年が経ちながら、今なお高い人気を誇る女子高生麻雀漫画「咲-Saki-」。麻雀が将棋や囲碁といった頭脳スポーツと同様に認知され、チーム戦による全国大会が繰り広げられるなど、競技麻雀ファンにとっては、夢のような世界が描かれている。現実世界では、2018年にプロ麻雀リーグ「Mリーグ」が誕生。まだまだ「咲-Saki-」の世界には及ばないものの、本格的な競技麻雀のチーム戦が、確実に盛り上がりを見せている。MリーグのEX風林火山でプレーする滝沢和典(日本プロ麻雀連盟)は、「咲-Saki-」の監修にも携わった一人。「咲-Saki-は今思えば時代を先取っていたんですね」と感慨深げだ。

▶動画:女子高生が戦う人気麻雀アニメ「咲-Saki-」

 プロ雀士という職業柄、関連の漫画作品、映像作品の「牌譜」を作る仕事というものを依頼されることがある。登場キャラクターの雀力によって、牌譜に違和感が出ない、対局として切り出しても正しいものを作り上げる作業だ。

 滝沢 「咲-Saki-」は、キャラクターが全員凄腕なんですけど、持っている特殊能力を考えながらやると、いろんな矛盾が出てきて、結構難しかったですね。その能力に合わせて、この牌を取っておかないといけなかったりするので(笑)

 ストーリー上、能力を発揮させるためには、そのキーになる牌が、正しい巡目に登場しないといけない。手品の種を作るようなものだ。

 40歳の滝沢にとって、麻雀漫画といえば福本伸行氏の「天 天和通りの快男児」「アカギ ~闇に降り立った天才~」、片山まさゆき氏の「ノーマーク爆牌党」あたりが、麻雀を覚えたころの代表作。時代を遡って読んだ小説「麻雀放浪記」には感銘も受けた。ただ、当時の作品は基本的に個人戦。チーム戦というものは「咲-Saki-」が連載開始された2006年でも斬新だった。

 滝沢 今のMリーグもチーム戦。昔、チーム戦なんてなかったですからね。今となってはすごい漫画だなと思います。今なら、読者の方もよりしっくり来るんじゃないでしょうか。「咲-Saki-」みたいに、全国的に麻雀部ができて対抗戦ができたら、すごくありがたいですよね。

「咲-Saki-」は時代を先取りした作品だった Mリーガー滝沢和典が想像する大観衆の中で打つ麻雀
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 「咲-Saki-」に出てくるような麻雀部が、高校時代にあったらと考えることもある。滝沢自身は軽音楽部で青春を過ごしたが、実は活動としては麻雀の方が多かった。

 滝沢 ほとんど麻雀部でした。麻雀は毎日やって、音楽は週に2、3回でしたから(笑)強い人もいましたね。中学時代からやっていたやつがいて、僕より強かったですね。たまに田舎に帰って、酒飲んで昔の話をすると、「たぶんお前より強かったよな」って言われます。

 自分の時代にはなかった、女子高生同士の真剣な麻雀勝負。大人が考えがちな、いろいろな損得を抜きに、目の前の勝負に純粋な作品に触れると、また新鮮な気持ちにもなる。さらに、作品の世界に憧れもある。それが何万人といったファンの前で打つ麻雀だ。

 滝沢 パブリックビューイングとかでも、人が集まって見ていると盛り上がるんですよね。たくさんの人が集まって、でもその音が聞こえない、観戦者の視線も見えない環境ができればおもしろいと思います。今、Mリーグを見ている人を全員、会場に集めたらどうなるんだろう。まともな精神じゃないかもですね。

 今年Mリーグは、パブリックビューイングで1000人近いファンを集めた。リアルで観戦したいというファンがさらに増えた時、モニター越しではなく、大観衆の中心で選手が戦い、歓声が巻き起こるような「咲-Saki-」の世界がいずれやってくる。そんな想像をしながら漫画、アニメを見ると、また違った感情が生まれるかもしれない。

▶動画:人気麻雀アニメ「咲-Saki-」全話無料

咲-Saki-
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