「私も“フェイス・トゥ・フェイス信者”だったが、考えが変わった」楽天・三木谷浩史会長が訴えた新型コロナウイルスとデジタル社会(2)
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(3枚)

 新型コロナウイルスの感染が拡大、政府が緊急事態宣言を発令する中、楽天会長の三木谷浩史氏が代表理事を務める「新経済連盟」では「今回のコロナ問題を機会と捉え、世界最先端のデジタル社会を実現する」と提言している。8日のAbemaTV『AbemaPrime』では、新型コロナウイルスの感染拡大防止策に続き、来たるべき“ポスト・コロナ”における社会について、三木谷氏に“リモート”生出演で語ってもらった

「私も“フェイス・トゥ・フェイス信者”だったが、考えが変わった」楽天・三木谷浩史会長が訴えた新型コロナウイルスとデジタル社会(2)
拡大する

 三木谷氏は提言について「“機会と捉えて”という表現が適切だったかどうか、今は反省しているが、遠隔医療もダメ、遠隔教育も単位として認められない、ワークホームができる環境がない大手企業もあるということが、こういう状況に陥った時に非常に大きなマイナスになるということが明らかになった。つまり、日本がデジタル化にいかに遅れているかということは分かったということだ。新型コロナウイルスの第二波、第三波が来るのではないか、秋になったらまた来るのではないかという話もある。次なるパンデミックに備えることも含めて、徹底的なデジタル社会にしていく必要がある」と説明する。

 「おそらく世界的に価値観が変わると思っている。例えばハリウッドがロードショーを仕方なしにデジタルでやるということになっているが、やってみたら“これでもいけるんだな”ということが分かってくるだろう。そのようにして、サービスを提供する側、受ける側の行動パターンを変える、ある意味で“巨大な実証実験”が世界レベルで行われているということだ。元に戻るところもあるかもしれないが、基本的にほぼ全ての会社が“ワーク・フロム・ホーム・エンバイロメントを作ろう”となると思う。ちなみに私自身、どちらかといえば“フェイス・トゥ・フェイス信者”で、“会社に来い”“全体朝会だ”“みんなで集まってやるぞ”という古い考えを持っていたが、今回のことで必要に迫られて分かったのは、“俺、3倍働いていたな”ということだった。楽天では新卒社員の研修も全てオンラインにしたので、毎朝30分、700人に対してZoomでスピーチしている。海外との会議もそうだ。今までこういうことをやったことはなかったが、通勤をしなくても、皆さんと一気に繋がることができる感じがして、自分の考え方が変わった。正直言って日本社会には利益団体があり、移動せずにデジタル・非対面でできることを、色々な理由をつけてストップさせてきた。GDPのロスを取り戻すのはなかなか難しいと思うが、経済の発展のためにも、今回のことを機会に日本の社会構造、産業構造を変革するべきだ」。

 他方、緊急事態宣言が発令されてもなお、通勤電車の様子はほとんど変わっていないという指摘もある。その背景に、日本の紙文化、ハンコ文化があるという声も少なくない。

 「楽天でも、派遣社員にパソコンを配ろうとしてもパソコンがない状況だ。しかし通勤を減らす努力をとにかくしていくことが必要だと思っている。私が言ったのは“社員でパソコン余っているやついるだろう。そいつらに貸してもらおう”ということだ。基本的には誰のパソコンでもできるはずなので、そういう譲り合いの精神も必要になってくるステージだと思う。また、社内決裁に判子はないし、当然、私も最近ではハンコを押したことはほとんどない。しかし行政の必要な書類などについてはまだある。楽天市場には判子屋さんもいるのでなかなか言いづらいが(笑)、外国人には人気があるので、セレモニー的なものにしてもらうという考え方でもいいと思う」とした。

「私も“フェイス・トゥ・フェイス信者”だったが、考えが変わった」楽天・三木谷浩史会長が訴えた新型コロナウイルスとデジタル社会(2)
拡大する

 作家の乙武洋匡氏は「本当に大賛成だ。あえて強い言葉を使わせて頂くならば、デジタル化が進む前は、障害のある人々は場面によっては社会から排除されてきた。我々のような車椅子ユーザーや、白い杖をついた視覚障害の方は満員電車に揺られて出勤することも至難の業だ。つまり、いくら能力があって、働く意欲があっても労働市場からははみ出してしまっていた。教育も然りだ。学ぶ意欲や能力があるにも関わらず病気で長期入院している子どもたち、何らかの理由で不登校の状態にある子どもたちも、オンライン教育もありだよ、という社会になれば、きちんと単位も取れ、弾かれずに勉強できるようになる。今回のコロナウイルスによって皆が困った結果、変えていかないといけない、となったことは、僕としては嬉しい反面、何で今まで変えてくれなかったんだという悔しい思いもある。でも、今までの愚痴を言っていてもしょうがない。これを機にいろいろなことをデジタルで、オンラインでできるように変えていただきたいと切に願う」とコメント。

 慶應大学の夏野剛・特別招聘教授は「7日に規制改革推進会議のタスクフォースで、コロナ対策としてオンライン医療の受診対応を開放するということ、薬局に行かなくても処方箋があれば処方することについての意見書を提出した。これは閣議決定もされるので実行されることになる。オンライン教育についても、今までのような制限や専門の教師がいないとダメだとかいう基準を、全てコロナ対策として外すということが決まった。問題は、これをちゃんと使うかどうかだ。三木谷さんも相当長い間戦ってきたが、抵抗勢力の人たちは“そんなものをやったって、ほとんど使われないのではないか”と言う。使われて、成果が出せなければ、元に戻されてしまうかもしれない。企業でも、リモートワークで結果が出なければ戻すと思っている経営者いると思う。ここから重要なのは、使う側が新しいサービス、緩和された基準を使い倒すということだ。だから今までコロナが怖くて病院に行かなかったという人は、どんどんオンライン受診をしてほしい。オンライン教育でどんどん勉強して、いい成績を出してほしい。そうやってデジタル革命を証明するのは国民の側だ」と訴えた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶映像:楽天 三木谷会長が緊急出演「東京をNYにしたくない」「消費税ゼロにすべき」新型コロナに独自提言

楽天 三木谷会長が緊急出演「東京をNYにしたくない」「消費税ゼロにすべき」新型コロナに独自提言
楽天 三木谷会長が緊急出演「東京をNYにしたくない」「消費税ゼロにすべき」新型コロナに独自提言
「日本は月に何百万台もの車を作れる国。PCR検査の拡大も可能だ」楽天・三木谷浩史会長が訴えた新型コロナウイルスとデジタル社会(1)
「日本は月に何百万台もの車を作れる国。PCR検査の拡大も可能だ」楽天・三木谷浩史会長が訴えた新型コロナウイルスとデジタル社会(1)
AbemaTIMES

■Pick Up

【Z世代に聞いた】ティーンの日用品お買い物事情「家族で使うものは私が選ぶ」が半数以上 

この記事の写真をみる(3枚)