18歳未満の子どものゲーム利用時間を平日1日60分/休日1日90分までとする、香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」。13日、県議会の条例検討委員会が集めた「パブリックコメント」の原本が開示された。

香川県、ゲーム条例のパブコメ「原本」開示も…“自作自演”疑う声 同じIPアドレスにIT専門家「不自然な点が多い」
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【映像】「全く同じ文章が何パターンも…」開示されたパブコメ「原本」

 同条例は賛成多数で3月に可決され、4月1日より施行。パブリックコメントは「県民の多様な意見を聴取する機会の確保」などを目的に、1月下旬から15日間募集されていた。県議会事務局が公表した内訳によると、条例賛成が2269件、反対は401件だった。意見は、県内に住所のある2615人と、ゲーム開発などを手掛ける全国の71事業者から集まったとしている。

 KSB瀬戸内海放送(テレビ朝日系列)と朝日新聞は、事務局に情報公開を請求。13日、「パブリックコメント」の原本が開示された。

 実際に開示されたパブリックコメントの内容を見ていくと、A4用紙で4186枚分、提出する者の個人情報は黒塗りになっていた。コメントにはいくつかのパターンが存在し、「皆の意識が高まればいい」は173通、「条例通過により明るい未来を期待して賛成します(賛同します)」は140通、「ネット、ゲームが子供達に与える影響はさまざまですので賛成」が136通あった。

香川県、ゲーム条例のパブコメ「原本」開示も…“自作自演”疑う声 同じIPアドレスにIT専門家「不自然な点が多い」
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 また「賛成いたします」のみで、全く同じ文面、同じ改行で送信されていたコメントも。このコメントの送信日時を見てみると、2月1日の11時21分に2通、22分にも2通、23分……と短い時間に相次いで送信されていた。

 一方、反対401件は書式が全てばらばらで、ほとんどが具体的な意見だった。

 さらに、送信元として「192.168.7.21」というIPアドレスが多く記録されていた。Twitterでも「192.168.7.21」がトレンド入りし、「メール送信元住所(IPアドレス)が身内の可能性大、ってこと」「内部からのパブコメ操作?」「自演だとしたら超大問題」などの声が殺到している。

 これについて、ITジャーナリスト・三上洋氏は「断言はできないが、不自然な点が多いと思う」と話す。複数のメールがローカルIPアドレス(192.168.x.x.)で検出されている点に「“社内メール”の可能性もある。庁内PCからの送信や、アンケートフォームから送信されているのかもしれない」と語った。

香川県、ゲーム条例のパブコメ「原本」開示も…“自作自演”疑う声 同じIPアドレスにIT専門家「不自然な点が多い」
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 県議会の条例検討委員会は「パブリックコメントは多数決ではない」としているが、最終会合では「賛成も多く、採決にかかった時間は約20分」だったという。

 これを受けてBuzzFeed Japan記者の神庭亮介氏は「(全く同じ文面が何通もあって)限りなく自作自演が入っているのではないかと疑わせる結果」とコメント。「個人や家庭の領域に行政が入っていくのはどうなのか、そもそも非常に議論が分かれる問題」とした上で、「パブリックコメントを募集し、それを受けてすでに条例が可決されている。ということは、パブリックコメントがパブリックではなく、ただの“インナーコメント”だったかもしれない」と危惧した。

 続けて「もしパブリックコメントを参考に『賛成も多い』という理由で採決したのであれば、その判断基準が間違っていないか、再度議論をするべき。個人情報に抵触をしない範囲で、同一人物が(複数回答して)いないかなど、もう少し丁寧な検討が求められる」と語った。

 そもそも、パブリックコメントは、公衆の意見のことであり、公的機関等が命令・規制・基準などを制定・改廃する際に、事前に広く一般から意見を募ること(デジタル大辞泉より)。集められた声が本当に“公衆の意見”だったのか、事実確認が求められている。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

▶︎映像:「192.168.7.21」がTwitterトレンド入り 不自然すぎるパブリックコメント「原文」

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