AI進化で消える職業!? テレ朝新人アナと考える これからの時代に求められるアナウンサー像
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 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、人手不足のコールセンターなどで期待されているのが、音声AIだ。

・【映像】AIアナvsテレ朝新人アナ ニュース原稿読みは誰のシゴト? 平石直之が考える人間アナウンサーが必要な理由

 帰国者の健康状態の確認、大分県中津市の夜間の新型コロナに関する相談窓口ですでに使われている「LINE AiCall」は、レストランなどの予約で活用されていたものを応用。簡単なヒアリングの部分をAIが担当することで、担当者はより緊急性の高い案件に集中できるようになったという。

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 AI声優が15人も所属する音声合成の声優事務所では、テレビ東京『モヤモヤさまぁ~ず2』のナレーションでおなじみのAI・ショウやアイドルのヒカリ、博多弁を話す女子高生・かんななど、様々なキャラクターを抱えている。開発を手掛けるHOYA株式会社MD部門の和井内正部長は「我々は今喜び、悲しみ、怒り、この3感情についてはすでに開発ができている」と話すとおり、機械学習により「わかりました、ありがとうございます」という文章を、喜びや悲しみの感情に応じて出し分けることもできるようになっている。

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 急速に精度を上げ、将来的には人間と変わらないレベルになると言われる音声AI。その活躍の場として注目が集まりそうなのが「アナウンサー」だ。2018年には中国の“リアルすぎるアナウンサー”が世界に衝撃を与えており、日本でも日経電子版ではAIアナウンサーの好実エリカ、共同通信ではバーチャルアナウンサーの沢村碧などが続々登場。「AIでも良いと思う職業ランキング」(東京スター銀行調べ)では、アナウンサーが販売員や銀行員を上回り1位となった。

 そんな時代、生身のアナウンサーは何をもって対抗するのだろうか。存在意義はなんなのだろうか。

■AIでも良いと思う職業1位=アナウンサーに、新人たちは…

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 『ABEMA Prime』がテレビ朝日で行われている新人アナウンサーたちの研修を覗いてみると、佐々木一真アナウンサーが「これを受けて出勤前に検温を義務付けた企業が急増したんですね」と原稿をそのまま読み上げたのに対し、入社12年の先輩・本間智恵アナウンサーが、「“けんおん”って聞いて、“検温”が頭に浮かびますか?」と指摘していた。

 本間アナは「今回の新型コロナウイルスのことで浸透したとはいえ、日常生活で使うことはなかなかない」。視聴者が聞いて理解しやすいよう、臨機応変に“体温を測る”に置き換えるようアドバイス。「人に届ける、その一番最後にいるのが私たちなので、うまく表現を変えたりして、分かりやすさを追求しないといけない」と話していた。

 表現力もさることながら、“機転”“細やかな配慮”を見せるのはAIにはできないポイントなのかもしれない。その一方で、正確さはAIに分がありそうだ。

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 4月から『ABEMA Prime』を担当している新人・佐藤ちひろアナは渡辺瑠海アナが株式会社Spectee開発のAIアナウンサー・荒木ゆいアナウンサーと早口言葉も含むニュース原稿をぶっつけ本番で読む企画に挑戦すると、イントネーションに若干の不自然さはあるものの、“引っかからずに正確に読む”という点においては新人アナの技量を上回っているようにも見えた。

 悔しそうな表情を浮かべ、一層の精進を誓った2人の新人アナ。佐藤アナは「感染予防のような面ではAIアナウンサーは有効だと思う。ただ、議論の進行役は代われないと思うし、人の魅力を最大限引き出せるような聞く力、質問する力が必要だと思う」、渡辺アナも「世間の人から“AIでも良い”と思われていることについては複雑な心境だが、受け止めないといけない。ただ、話の流れを汲んだり、ニュアンスを伝えたりする部分では、生身のアナウンサーの存在が大切だと思っている」と話した。

■「極めれば、むしろAIが学ぶ対象になれる」

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 『ABEMA Prime』でレギュラーMCを務める作家の乙武洋匡氏は「まず24時間働かせっぱなしでも文句を言わない、人件費がかからない。ミスがない、不祥事を起こさない。いいことづくめだ。そんな中で、あえて人間のアナウンサーを起用する意味をどこに見出すのか。本人たちも、どこにモチベーションを持ってくるのだろうか」と問題提起。

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 これに対し元経産官僚の宇佐美典也氏は「原稿読みなど、技術的なものはAIに追い抜かれるかもしれないが、そこには思想や趣味、ユーモアはない。そういう人間味という部分を出していくことが必要だと思う。そして、AIは今のルールの中でしか進化できない。それならアナウンサーが報道、ニュース番組の自らルールを変えていけばいい」とコメント。

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 慶應義塾大学の夏野剛・特別招聘教授は「うちにはAmazon Alexaがあるが、“期待値”が低いので読むのが下手でも構わない。しかしテレビ番組は視聴者の期待値がものすごく高い。その意味では、まだAIアナウンサーは弱いと言える。そして全ての職業に言えることだが、どの分野においても向いている人と向いてない人がいて、向いていて、トップ10%になれる人は、むしろAIが学ぶ対象になれるということだ。逆に言えば、自分で決断でない企業経営者ならデータに基づいて判断できるAIの方がいいということになるし、なんとなく自分はこの仕事に向いていないな、と感じているサラリーマンは職業を変えた方がいいということになる。僕は自分の会社に来る学生には“石の上にも3カ月”と言っている。3カ月で合わないと思ったら辞めろ、そして何歳になっても自分が向いていることを探し続けて、“これをやるのが楽しい”というのを見つけたら、その道を進むのがいい」と話した。

■「AIアナウンサーにないものは“心”」

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 新人アナたちの指導も行っている司会進行の平石直之アナウンサーは「ビジネス書はスマートスピーカーでいいが、小説など、味わい深いものは上手いナレーション、というのはなくならないと思う。逆に言えば、必然的に必要な人数は少なくなってしまいかねない。しかし、原稿を読むというのは、ものすごくプレッシャーと労力がかかること。“読めて当たり前”だし、減点方式なので、間違えたとか、時間内に収まらなかったとなれば、本人も会社も大変なダメージを受けるそれならここはAIに任せてもいいのではないかと思い始めている。AIが読んでいるその間に、ゲストに尋ねることを考える方がいいのではないか」とコメント。

 その上で、「アナウンサーに必要なもの」について問われると「一言で言うなら“心”だと思う。人間にあってAIにないものは心くらいしか残っていない。視聴者を思う心とか出演者、スタッフを思う心が人を動かすかもしれない。だからこそ乙武さんがおっしゃったように、不祥事があったりすると“こいつの言うことは絶対に聞くもんか”となってしまう。そこは非常にセンシティブではあるが、大事にしていかないといけないものだと思う」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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