将棋のプロ対局において、かなり珍しい局面が登場した。真っすぐに突き進む「香車」が4つのうち3つも縦に並んだ姿はまさに「3段ロケット」。放送を見ていた視聴者も、滅多にお目にかかれない“超レア局面”だと大賑わいとなった。
今後、見られるかもわからないような実に珍しい局面が現れたのは、4月30日に行われたABEMAによる世界初のビデオチャット対局でのこと。プロの棋士で、YouTuberとしても活躍する村中秀史七段(39)と伊藤真吾五段(38)というYouTuber対決だったが、Web会議ツール「Zoom」を使って対局するという世界初の試みにも、Webの知識が豊富な2人は戸惑うことなく、白熱した将棋を繰り広げた。
超早指し(持ち時間5分・1手指すごとに5秒加算)で三番勝負を戦ったが、珍しい局面が生まれたのは第2局。中盤に差し掛かったところで、後手の村中七段は穴熊に囲った伊藤五段の玉頭を攻めるべく、9筋に戦力を集中した。
もともと9一の地点に配置されている香のすぐ下の9二に、持ち駒にしていた香を打つと、それでも足りなければとばかりに、もう一枚持っていた香を、さらに9三に。一点に戦力を集中するという意味では、非常にわかりやすい攻撃ではあるが、実戦で出現することはなかなかないだけに、この様子に解説を務めていた森内俊之九段(49)がポツリと「3段ロケットあるんじゃないですか」とつぶやくと、放送していたABEMAの視聴者コメント欄も一斉に「3段ロケット」の文字で埋め尽くされたほか、東京の将棋会館がある千駄ヶ谷にちなみ「千駄ヶ谷のロケットマン」といった異名も考案されていた。
対局は、この3段ロケットを見事に活用した村中七段が快勝。対局前に秘策があると明かしていたが、「中田功先生(八段)に教わったんです。穴熊崩しです」と、先輩棋士から伝授された秘技だったことを明かしていた。
(ABEMA/将棋チャンネル)