将棋の世界において、難解な局面を読み解く棋力(知力)はもちろん必要だが、それを支えるには体力も必要だ。長時間の対局でスタミナ切れを起こせば、思考力も鈍り、思いつくはずの一手も出てこなくなる。昨年、史上最年長で初タイトルを獲得し話題になった木村一基王位(46)の体力を支えるのはランニング。なんと「中学生から体重が変わっていない」という。
木村王位は行方尚史九段(46)、野月浩貴八段(46)という同い年の3人組で、プロ将棋界初となる団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」に参加している。若手実力者も多数エントリーする中、勝っても負けても言いたいことが言い合える、気の置けない仲間で戦うと、リーダーである木村王位が2人を指名し、結成されたものだ。
決起集会として集まった3人だが、そこでのトークも実に自由。普段からトークには定評のある木村王位も、いつにも増してのびのびとしていた。木村王位が「最近ハマっていること」についてトークが展開されると、「昔からずっと走っている。それこそ中学生時代から走っていて、体重も1キロも変わっていないです」と明かすと、これにはお酒をこよなく愛する行方九段から思わず「そりゃすごいね」と言葉が漏れた。
ランニングを日課としたことがタイトル奪取につながった、ということで終わればいい話で終わるところだが、木村王位はそれを許さない。「夜に走ると変態と間違われちゃうんでね。なるべく夕方、日が落ちる前に走る」と自虐的にトークを広げると、さらには「厚底シューズを買った。ちょっと跳ねる感じがして、とても違いがわかるんですが、私はいいタイムを出す必要がない。買って気づいた」と笑い出した。
体力をつけるために走っているところを、負荷を減らしてしまっては意味がない。野月八段が「それ、思った(笑)体力づくりで走るのに軽やかに走ってもしょうがない」と突っ込むと、行方九段も「負荷かけた方がいいんじゃないの?」と追い打ちをかけていた。
体力づくりのランニングでしっかり体力づくりをした後、ベテラン3人組での団体戦は軽やかに勝ち抜けたいところだ。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
(ABEMA/将棋チャンネル)