将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Cリーグ第2試合、チーム木村VSチーム糸谷が5月30日に放送され、大将戦でチーム糸谷・都成竜馬六段(30)がチーム木村・野月浩貴八段(46)との三番勝負で2勝1敗と勝ち越し、+1ポイントを獲得した。この結果、チーム糸谷はトータルで+1ポイントでリーグ戦を終了。第3試合の結果を待たずに、決勝トーナメント出場を決めた。
追い込まれた状況から、将棋界きってのイケメン棋士の眼光が鋭さを増した。大将戦を前に、チームのポイントは±0。負け越せば予選敗退の危機、勝てば本戦出場決定という大一番を任された都成六段は「緊張感をいい方向に出していきたい」と気持ちを引き締めていた。チーム康光との第1試合では、師匠・谷川浩司九段(58)に2勝1敗で勝ち越したものの、内容的には大いに不満。その分を挽回すべく第1局の先手番から勝利にかけたが、ここから苦難の連続だった。
自分のペースで指し進めていたと思われた第1局だが、ここでまさかの千日手。不利とされる後手番での指し直しとなったことに、チームリーダーの糸谷哲郎八段(31)からも思わず「そんなことある?」と声があがった。指し直し局は角交換から、都成六段は向かい飛車を採用。またもペースを握ったと思われたが、野月八段の反撃をまともに食らった格好で、手痛い星を落とした。
もう後がない第2局。またも後手番で、今度は四間飛車で戦いを挑むと、三度ペースは都成六段が握った。ただ、終盤に向かうにつれて、勝利を大事に取りに行き過ぎたのか、またも形勢が大きく揺れ動く展開に。対局を見守っていた糸谷八段、高見泰地六段(26)も会議室でモニタを見ながら一喜一憂、大騒ぎとなったが、ぎりぎりのところで指運にも恵まれ、なんとか1勝1敗のタイに持ち込んだ。
いよいよ運命の3局目。都成六段の先手番は相掛かりからスタートすると、序中盤で優勢となり、終盤に向けてもつれる、もはや“都成流”ともいえる展開に。対局後、自ら「内容はハラハラさせたと思う」と笑うほどの熱戦だったが、力を振り絞った末に勝ち越し、チームを決勝トーナメントに導いた。
「連敗で終わってもおかしくなった。結果は1つ残せてよかったです」と、肝を冷やしたチームメイトの2人で微笑む都成六段。この後の戦いでも、そのルックスとドラマチックな将棋で、ファンのハートを激しく鼓動させる。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
(ABEMA/将棋チャンネル)