将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Dリーグ第1試合、チーム永瀬VSチーム広瀬が6月14日に放送され、中堅戦でチーム広瀬のリーダー・広瀬章人八段(33)が、チーム永瀬・藤井聡太七段(17)に2連勝、+2ポイントを獲得した。個人戦だった第1回、第2回を連覇している藤井七段に、同棋戦初登場の広瀬八段が会心の2連勝。自ら「今シーズン一番の波乱が起きました」とジョークも飛ばす絶好のスタートとなった。
うちのリーダーが強すぎる。チーム広瀬の青嶋未来五段(25)、黒沢怜生五段(28)が、その強さに度肝を抜かれた。広瀬八段といえば竜王、王位の経験者で、竜王戦1組・順位戦A級と、トップクラスで戦う実力者。強いということはもちろん知っていたが、この超早指しルールの中、個人2連覇中の藤井七段を事前に宣言していた真っ向勝負で退けたことに、驚く以上の表現方法が見つからなかった。
広瀬八段の先手番だった第1局は相矢倉。どっしりとした戦いの中、中盤から終盤にかけて藤井七段が見せた隙を逃さず、確実に突いた。逆転を狙う勝負手を仕掛けられても、全く慌てない。激しい戦いの中でも、広瀬八段の落ち着きが際立つ一局となった。
後手番の第2局は、藤井七段得意の角換わり。駒組みを終えると、両者とも斬り込むタイミング、カウンターを取るタイミングを狙って、手番を渡し合うという珍しい展開に。最終的に、先に仕掛けた藤井七段の攻撃にしっかり対応、カウンターを取ることに成功すると、解説していた村山慈明七段(36)からも「広瀬さんの完勝と言っていい内容」と称える勝ちっぷり。本人も「そんなに早指しが得意って感じでもないので、自分自身が一番驚いています」と目を丸くした。
優勝候補の筆頭に挙げられていたチーム永瀬、さらにはエースの藤井七段に対しての快勝は、同棋戦の中でも強烈なインパクトを与えるとともに、一気に今大会の主役候補に名乗り出てきた。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
(ABEMA/将棋チャンネル)