将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Dリーグ第1試合、チーム永瀬VSチーム広瀬が6月14日に放送され、中堅戦に登場したチーム永瀬・藤井聡太七段(17)が、チーム広瀬のリーダー・広瀬章人八段(33)に2連敗を喫した。個人戦だった第1回、第2回と連覇していた藤井七段が、同棋戦で負け越したのは今回が初。超早指し戦において“絶対王者”とも目されていた天才に、新たな壁が立ちはだかった。
久々の超早指しだったからか、それとも何かの迷いか。持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算という独特なルールの中で、無類の強さを見せていた藤井七段が、まさかの連敗スタート。早指し戦では朝日杯将棋オープン戦を連覇。長時間対局でも最年少でタイトル挑戦中と伸び盛りの若者が、同じ相手に2連敗するというのも珍しいシーンだ。過去2回の大会は、三番勝負で1敗(2勝)したことはあっても、予選を通じて負け越したことは1度もなし。しかも2連敗という結果には、関係者もファンも驚いた。
藤井七段といえども、感覚を掴めなければ存分に力を出せないのが、このルールの怖さだ。対戦相手の広瀬八段は「持ち時間で少しプレッシャーをかけた。時間がなくなってきて藤井七段に間違いが出たと思っている」と振り返った。ハイレベルの戦いになるほど、「時間」は勝敗を左右する大きなポイントになる。これまで多くの棋士が、時間切迫の中で、まさかとも言える悪手を指すこともあった。連覇した際は、解説棋士から「ミスをしない」点を高く評価されていたが、今回はそのミスを広瀬八段に咎められる結果になった。
公式戦でも断トツの高勝率を誇っているが、壁にぶつかったことがないわけではない。これまでも敗戦を糧に強くなってきた。今回喫した初の負け越しが、藤井七段をまた1つ上のステージへと登らせるきっかけになるかもしれない。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
(ABEMA/将棋チャンネル)