将棋の超早指し団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」の予選Dリーグ第2試合、チーム永瀬 VS Abemaドリームチームが6月21日に放送され、中堅戦でチーム永瀬のリーダー・永瀬拓矢二冠(27)が、Abemaドリームチーム・三枚堂達也七段(26)に三番勝負で2勝1敗と勝ち越し、+1ポイントを獲得した。将棋に対するストイックな姿勢も魅力な永瀬二冠は、対局中の仕草も真剣勝負そのもの。思わず熱くなる様子に、ファンも引き込まれた。
勝負どころで自分の顔をペチペチと叩き、時間切れ寸前まで考え、今度はチェスクロックを激しく叩く。その一局に集中し、なんとしてでも勝とうとする“中尉”永瀬二冠の気迫がほとばしった。優勝候補の筆頭に挙げられたチームのリーダーとして、また将棋界を代表する棋士として、一切の妥協なく指し切った。
同年代の三枚堂七段との戦いは、第1局から熱戦になった。角換わり腰掛け銀の最新型でぶつかると、相手の攻めをしっかり受け止めてから反撃。162手の長手数ながら、絶対に負けない将棋で快勝した。
続く第2局も優勢で終盤まで進んだかに見えたが「寄せを逃した」というように好機を活かせず、形勢が二転三転する大熱戦に。ここで永瀬二冠は、集中力を高めるためか、自分の頬をペチペチと叩いた。この様子には解説を務めていた戸辺誠七段(33)も「迫力ありますね」と指摘。さらには、持ち時間が残り1秒かというところまで考えると、ここまで行われてきたどの対局よりも激しく、チェスクロックを叩いて止めた。その激しさは視聴者から「すげえ叩き方」「ぶっ叩いたな」「今までで一番の強打」という声もあがったほどだ。敗れはしたものの、この一局で見せた凄みは、次の第3局へと確実につながった。
最終第3局は、構想力の問われる相掛かりの出だしになったが、中盤から厚みのある戦いぶりを見せた永瀬二冠が確実にリード。逆転の機会を与えない強い形で勝利し、勝ち越しが決定。「役目を果たせてよかったなと思います」と、厳しかった表情もようやく緩んだ。
チームは先鋒の増田康宏六段(22)、大将の藤井聡太七段(17)も勝ち越し、決勝トーナメント進出を決めた。「このメンバーで戦えるのが楽しみですし、一局一局頑張りたいです。その先には優勝もありますので」と、はっきりと優勝の2文字を口にした。ただ勝つだけでなく、熱く勝つ。その戦い様が、さらに続く戦いでも後輩棋士を引っ張る。
◆第3回AbemaTVトーナメント
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行い、1回の対戦は三番勝負。3人1組の12チームが、3チームずつ4つのリーグに分かれて総当たり戦を実施。1対局につき1勝を1ポイント、1敗を-1ポイントとし、トータルポイントの多い上位2チーム、計8チームが決勝トーナメントに進出する。優勝賞金1000万円。
◆出場チーム&リーダー
豊島将之竜王・名人、渡辺明三冠、永瀬拓矢二冠、木村一基王位、佐藤康光九段、三浦弘行九段、久保利明九段、佐藤天彦九段、広瀬章人八段、糸谷哲郎八段、稲葉陽八段、Abemaドリームチーム(羽生善治九段)
(ABEMA/将棋チャンネル)