将棋の最年少棋士・藤井聡太棋聖(18)が7月29日、順位戦B級2組3回戦で鈴木大介九段(46)に勝利した。同級には今期から参加したが、これで無傷の3連勝。最年少名人獲得記録に夢をつなげる1期抜けへ、また一歩前に進んだ。
藤井棋聖の先手番で始まった対局は、藤井棋聖が居飛車穴熊、鈴木九段が四間飛車の出だしに。中盤以降、少しずつ差を広げると、危ないところもないまま終盤に突入。しぶとい受けや穴熊攻略に定評がある相手に対して、一直線で勝ち切った。1回戦で若手実力者・佐々木勇気七段(25)、2回戦では受けに定評があるA級経験者・橋本崇載八段(37)に快勝していたが、前日までに31勝1敗と文句なしの成績を残している順位戦で、またも白星を積み重ねた。対局後は「穴熊にするのは予定でした。こちらの仕掛けがどうか、成否が際どいところだと思っていました。(順位戦3連勝は)いい星取りでここまで来られているので、昇級を目指して頑張りたいと思います」と快勝譜を振り返っていた。
16日に最年少でタイトルを獲得した藤井棋聖だが、将棋界で最も歴史あるタイトル・名人を獲得するのは茨の道だ。次回対戦する谷川浩司九段(58)が持つ21歳2カ月の最年少名人記録を更新するためには、今期B級2組、さらに来期のB級1組での1期抜けが必要。参加人数が多いB級2組では10戦全勝相当で上位3人、総当たりとなるB級1組では、タイトル保持者・経験者が多数いる通称“鬼の棲家”で上位2人に入らなくてはならない。さらに記録更新には、A級(総当たり)で挑戦権を獲得、七番勝負を制する必要がある。今期も含めて3年がかりの最年少名人への挑戦だが、1敗でもすれば途端に黄色信号が灯るシビアな条件だ。
8月4、5日には王位戦七番勝負の第3局に登場する藤井棋聖。初タイトルで日本中を大いに沸かせたが、本格的な「藤井時代」を築くためにも、二冠、三冠、さらにはその先と、負けられない戦いはまだまだ続いていく。
(ABEMA/将棋チャンネルより)