勉強や仕事の最中、手元にあるペンなどをくるくる回す人を見たことがあるだろうか。一見、集中していないように見えて、この動作で何気ないリズムを刻み、頭の中の考え事をさらに加速させているケースもある。今、大注目の将棋棋士・藤井聡太棋聖(18)もその一人だ。8月4、5日に行われた王位戦七番勝負の第3局でも、中盤・終盤の勝負どころでは、手元にあった扇子をくるくる高速回転。ABEMAの中継で解説していた行方尚史九段(46)も「そうか、脳の回転と比例してるのか」と笑いながらも注目しきりだった。
棋士と扇子といえば、ゆっくりと開いて閉じる、また開いて閉じるといった仕草が多く見られるが、藤井棋聖は閉じたままの扇子を、手元でくるくる向きを変える。いわゆる「ペン回し」のようにぐるぐると激しく回転させるわけではないが、なかなかの高速回転ではある。
中継で藤井棋聖の様子を見ていた解説の行方九段、聞き手の渡部愛女流三段(27)は、この様子をチェックし、トークを展開し始めた。
行方九段 藤井棋聖、リズムを取るために扇子をくるくる回すと聞くんですけど。
渡部女流三段 あ、今も回してますね。結構、高速だと思うんですけど。速くないですか?
行方九段 ははははは。これ、このくらいのスピードで(手を)読んでると思ったら、確かに嫌だね(笑)これが脳の回転なのかと。そうか、比例してるのか。
当たり前の話だが、人の脳内でどれだけのことを考えているかなど、見た目に判断するのは難しい。ただ、藤井棋聖が考えれば考えるほど、扇子の回転速度が上がるとすれば、相手にとってはなかなかのプレッシャーだ。
実は行方九段、この“高速回転”を将棋の対局場とは別のところで目撃したことがある。藤井棋聖が5連覇を果たしている詰将棋解答選手権だ。プロ・アマが参加する大会で、制限時間内に超難問を解くというものだが、藤井棋聖は小学生時代から優勝を続け、将棋界に衝撃を与えたことでも知られる大会だ。
行方九段 詰将棋解答選手権で、彼と隣合わせになったんです。ちらっと横を見たら、ものすごく消しゴムをくるくる回してるんですよ。すごい勢いで(笑)まじまじと見たわけじゃないんですけどね。
渡部女流三段 答えを書くのも速かったんですか?カリカリ、音とか気になりましたか?
行方九段 気にはなるけど、20分ぐらいでいなくなるから。(制限時間が)90分あるんですけど(全問解いて)20分でいなくなっちゃうからね(笑)
詰将棋解答選手権では、全問を解いた人から退出が認められており、藤井棋聖は正解率だけでなく解く速さも断トツなのだ。
この扇子、消しゴムの高速回転エピソードに、ABEMAの視聴者も大盛りあがり。「扇子のクルクルがCPUの周波数を表す」「脳の回転とリンクする扇子回し」といったものから、「なんでも回すのか」「回せるものならなんでもいいのか」と、文字だけ見れば曲芸師のようなコメントまで見られていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)





