「藤井聡太ばりの打ち手」武藤敬司が評価、レジェンドに肉薄した清宮海斗の新境地
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 8月10日に開催されたプロレスリング・ノアの横浜文化体育館大会で、新世代の雄・清宮海斗がキャリア屈指の名勝負を見せた。

 昨年1年間、GHCヘビー級王座を守り通し、ノアの“新しい景色”の象徴となった清宮。1月にベルトを奪われたが、そこで新たな標的としたのがレジェンド・武藤敬司だった。

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 6人タッグ、タッグでの対戦ではグラウンド地獄から足4の字に捕まり壁を痛感した。しかしそれでも「プロレス界のナンバーワンになるため、武藤さんの領域に踏み込みたい」とシングルマッチを希望している。

 これまで、大一番では相手の猛攻に耐えて反撃、勝利を掴んできた清宮。“受け”の強さはノアらしいものでもあった。だが武藤は新日本プロレス出身。「ベースはストロングスタイル」と本人も言う。いわば“他流試合”だけに、闘い方にも変化が必要だった。この一戦に向け、清宮はひたすら武藤対策を練り、それ以外のことが考えられない状態だったという話もある。

 実際、清宮は見事な闘いぶりを見せた。武藤のドラゴンスクリューを3度にわたって阻止し、腕に集中攻撃。ドロップキックも腕に浴びせていく徹底ぶりだった。その厳しい攻めに、武藤が悲鳴を上げる。清宮はロープに逃れられても、反則カウントぎりぎりまで腕を離さないしたたかさを見せてもいる。

 タイガースープレックスも決め、あと一歩のところまで追い込んだ清宮だったが、武藤の粘りも凄まじかった。27分のロングマッチを足4の字でフィニッシュ。「あと一歩」の詰めを許さないところがレジェンドの所以か。

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 試合後の武藤は、ドラゴンスクリューが読まれていたことについて「あいつの策略にハマったのかと思った」と振り返っている。「藤井聡太棋士を思わせる打ち手」とも。かなりの高評価と言っていいだろう。

 清宮は大会翌日、一夜明け会見に出席。「勝った負けたという部分では悔しい」としながらも、武藤との一連の闘いに充実したものを感じたという。

「武藤さんの雰囲気、技術を体内に叩きこんで、自分のプロレスの血をアップデートすることができた。前は苦しめられる場面が多かったですけど、今回は研究したものを出して“闘い合う”ことができました。踏み込んでいけた」

 武藤は清宮について「アベレージではなく爆発的に突出してる何かを身につけないと」という言葉も残している。その課題は、これから始まるリーグ戦N-1 VICTORYでクリアしていきたいところ。「ぶっちぎりで優勝してGHC(ヘビー級)を狙います」と語る清宮。昨年は王者として不出場を選んだが、今年のリーグ戦は初出場、初優勝を目指す。そこには「武藤さんから吸収したものを早く出したい」という思いもある。

 指摘された「爆発的に突出している何か」に関しては、すでにその萌芽も見られる。今回のシングルマッチ、結果としてかわされたものの、清宮は武藤の代名詞であるムーンサルト・プレスを放っているのだ。

「あれは(出したというより自然に)出た、という感じじゃないですか」

 そう清宮は語っている。タイガースープレックスをカウント2で返され、とっさに出たのがムーンサルトなのだとしたら、そのセンス、ひらめきは“おそるべし”である。まだ24歳、伸びしろだらけの清宮にとって、武藤戦がもたらした経験はあまりにも大きい。

文/橋本宗洋

写真/プロレスリング・ノア

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